野村が打てば今川も打つ 2人で2戦計9安打3本塁打13打点 右の大砲同士が互いに抱く感情
■イースタン・リーグ6回戦 楽天1-11日本ハム(5月4日、鎌ケ谷スタジアム)
野村、今川がともに2安打4打点
新庄監督、準備できてます! 日本ハムの野村佑希内野手(23)が「3番・左翼」で先発し、満塁走者一掃の二塁打を含む2安打4打点と躍動した。同じく「4番・DH」に入った今川優馬外野手(27)は、2戦連発の3号2ランを放ち、こちらも2安打4打点。ともに打撃を売りにする右の大砲たちが、〝早く俺を1軍に呼べ〟と言わんばかりに暴れまくった。
前日の野村は3号ソロ含む3安打
不振にあえいでいた野村は、もういない。前日に3号ソロ含む3安打をマークした勢いそのままに、この日もバットが火を吹いた。まずは三回2死一、二塁で迎えた第2打席に、右前にポトリと落とす先制の適時打。決して良い当たりではなかったが、「ヒットはヒットなので」と塁上で笑みをこぼした。
長打ではなく本塁打にしたかった
続く四回の第3打席は、2死満塁で快音を鳴らし、中堅の頭上を越す3点二塁打。「追い込まれ方は良くなかったんですけど、そこから粘れて、しっかりと自分の頭の中を整理して、しっかり狙って打てたのは良かった」と納得しつつ、「ただ、あそこはホームランにしたいので、もうちょっとパワーを出したいです」とさらなる成長を見据えた。
1軍では結果を欲しがっていた
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今季は開幕スタメンに名を連ねるも、8試合に出場して26打数2安打、打率.077と大不振に陥った。4月12日に1軍登録を抹消されると、鎌ケ谷で佐藤2軍打撃コーチとともに修正に着手。「落ちてきたときに佐藤さんから、そこまで悪くはなっていないということと、あとは(結果を)欲しがって当てに行っているというか、簡単に言えば(フォームが)ちっちゃくなっていると(言ってもらった)。打球も上がっていなかったので、その辺の修正、練習方法を教えてくれて、それをやっていました」。状態はすぐに上向き、2軍ではここまで17試合に出場して打率.388、3本塁打、19打点と無双状態だ。
今川「ポジションも同じなので負けられない。燃えました」
後輩の活躍に、前日に逆転サヨナラ満塁弾でヒーローになった今川も黙っていない。「ポジションも同じなので負けられない。燃えました」と奮い立つと、この日は三回、野村の先制打の直後に適時二塁打で続いた。四回に後輩が3点二塁打を放てば、直後に3号2ランで〝応戦〟。「結局、野村より打たないと、1軍にも上がれないと思うので。1軍で2人いたら、調子がいい方しか出られないと思うので、そこは意識しながらやっていますね」とライバル心を燃やした。
野村「今川さんは長男気質ですね」
野村と今川は、寮の室内練習場やキャンプ期間中に何度も、一緒に夜間練習をしてきた仲だ。4学年差の後輩は執念を代名詞とする先輩の野球と向き合う姿勢に、尊敬の念を抱いている。
「いろいろ勉強されている方なので、もちろんいろいろ意識を聞いたりとか、お互い、こういうバッターのこういうところが―とか、そういう話もしながら。今川さんは長男気質ですね。本当にお世話になっている。こういう(2軍にいる)苦しい状況じゃないですか。それでも折れずにやっている姿というのは、尊敬しますし、見習いたい。いろいろ苦労を経験されている方なので、そういう姿を見て勉強しながら、見て学びながらやっています」
今川「ジェイも大人になったな」
野村の成長を、間近で感じているのが今川だ。「開幕からずっとあまり状態が良くなくて、あのしんどさは僕もすごく分かります。それでもファームに落ちてきてから、すぐ切り替えてやっていた。アイツもたぶん、責任感というか、後輩たちに対して声かけしたりする場面を見る機会も増えた。今までは、ジェイ(野村)も若かったので、そうしたところはなかったと思うけど、ジェイも大人になったなという感じがしますね」
競争の中で勝つために打ち続ける
昇格はもちろん、1軍で試合に出られる人数にも限りがある。野村が「打席で勝負するタイプの選手なのは同じなので、打った方が出られるのは当たり前の話。競争の中で勝ち抜いていきたい」と宣戦布告すれば、今川も「(野村は)ファームに落ちてから、どとうのごとく打っているので、やっぱりすごいなと思いつつ、もっと打たなきゃなという感じ。どっちが先に上がるか、分からないですけど、僕は打ち続けるしかない。打って、全部いい方向に持っていけるように、バチバチにやっていきたいですね」と受けて立った。2軍で切磋琢磨する2人。晴れ舞台に立つ日は、確実に近づいている。