《こぼれ球》同期の紫
先日掲載した記事でも少し触れさせてもらったが、4月28日に京都競馬場で行われたGIレース・天皇賞(春)で優勝したテーオーロイヤルに騎乗し、GⅠ初制覇を達成した菱田裕二(ひしだ・ゆうじ)騎手は、京都ジュニア(※小学生年代)で北海道コンサドーレ札幌MF駒井善成と、同級生としてプレーしていた経歴を持つ。一緒にサッカーをしていた時期について駒井は「菱田はちょっと小柄だったんですけど、すごくテクニックがあるタイプで。ムードメーカー的な存在でもあったし、ジュニアの中では一番仲が良かったかなと思います」と当時を振り返る。
小学生時代を共にした2人も今年で32歳。サッカー界ではFW三浦知良(57)、競馬界では武豊騎手(55)と、年齢を超越していまだに現役を続けている〝レジェンド〟がいるが、一般的には互いにその業界の中で中堅からベテランに差し掛かるくらいの年齢。駒井も「僕らも年を取って、ベテランという域に来てますけど」も自認するものの、「そういう中でも若い選手たちに負けないように活躍しているというところに刺激を受けますし、自分もそういう存在でありたいなって思うので、日々負けずに頑張りたいなと」と、同期の活躍を励みに、まだまだ走り続けていこうとしている。
天皇賞の後に菱田へLINEでメッセージを送った駒井。その中では祝福の言葉や、札幌競馬場での騎乗時の食事の約束と共に、ある思いを込めた一文を盛り込んだ。「『お互いケガ無くね』って。先日ジョッキーの方が落馬して亡くなったということもあったので、本当にケガだけ気を付けてねって」。先月10日、菱田の先輩騎手だった藤岡康太さんが落馬事故の影響で35歳の若さで亡くなられた。菱田も昨年9月に落馬で左肩を脱臼して約3カ月休養し、駒井もまた一昨年10月に左膝前十字靱帯損傷し約半年の離脱を経験した。互いにケガがつきものの競技ではあるが、2人がこの先の現役生活をケガ無く全うできることを願いたい。