夏季スポーツ
2024/05/10 18:00

アメリカ縦横断ギネス記録の永関博紀 今度はイタリア縦断1400キロマラソンに挑戦③

 

音楽フェス主催者代表の連載最終回

 音楽フェス「SORAON」を主催する永関博紀さん(33)が昨年、イタリア縦断マラソンを完走した。「自分の好きなことに全力」で挑み続ける永関さんの連載最終回をお届けする。


昨年11月にマラソンでイタリアを縦断

 2023年11月19日にイタリア最北端「プレドーイ」をスタートし、32日目に最南端「メーリト・ポルト・サルヴォ」に到着した。毎日43キロをマラソンで走り、計1381キロを走破。野球と自転車で鍛えた身体はミシミシと悲鳴をあげ、足を引きずりながらゴール。「トラックの風圧や雨風にあたり、今何やってるんだろうと気持ちが沈むこともあれば、絶景に心震わせる瞬間もあった。気持ちのアップダウンを日々体感し、人生そのものを味わった感覚だった」と振り返る。

獲得標高は1万3000メートル。富士山登山3回分に相当

 

挑戦に至るまでの経緯

 やりたいことが見つからなかった17年、「毎日13時間寝ていた」というニート生活から脱却すべく、自転車による世界走破の企画を思いついた。すぐに行動へと移し、ロードバイクメーカーに提案。「ほぼハッタリのような提案にも関わらず社長さんから快諾の連絡をもらい全てが始まった」と、高性能ロードバイクが2台届き、その3カ月後に日本縦断ギネス記録を非公認ながら更新した。

 翌18年、最北端宗谷岬から最南端佐多岬まで、2650キロを8日間で縦断し、正式に日本縦断のギネス記録を樹立した。その後、7282キロを31日間で走破し、アメリカ縦横断のギネス記録も打ち立てた。ニュージーランド縦断後には厚真高校陸上部にランニングシューズを提供し「ニート時代は自分の人生には価値がないと思いながらも、誰かを応援できるような人になれたら、といつも願っていた。『挑戦×チャリティー』が進むべき道だとようやく実感を得た」。今回のイタリア縦断マラソンはチャリティーマラソンと位置付けて支援も募り、北海道の児童養護施設にランニングシューズを届けるのも、もう一つの目的だった。札幌の3施設に、合計96足のランニングシューズを届け「エゴでもなんでもいい。喜んでくれたその姿が全てで、いつまでもこの活動を続けたい」と語った。

アメリカ縦横断のギネス記録を樹立した際の北海道新聞の記事(2022年11月30日掲載、著作物利用許諾番号28131)

 

株式会社チヨダがプロジェクトに参画。新品シューズを履く子どもたち​​​

 

次はヨーロッパ8カ国5500キロ縦断に挑戦

 今夏は、自転車でノルウェー最北端からスペイン最南端まで8カ国5500キロを14日間で走破するギネス記録に挑戦する。漫画「キン肉マン」に出てくる筋肉隆々のラーメンマンに扮する予定で「夢を純粋に追い求める姿は時に滑稽だけど、それがまさに今の若い子たちに伝えたい姿。かっこつけないで、もっと滑稽でありたい」と意気込んだ。

 また、高校生などを相手に自分のやりたいことを見つけるための講演やワークショップも精力的に行っている。アメリカ縦横断は事故で2回リタイアしながらも3回目で完走した話など、失敗という経験の尊さを伝えている。生徒たちからは「恐れずに自分の夢を追いかけてみようと思います!」といった反響があるという。スポーツ選手でもなく、あくまでも肩書きは「挑戦者」。挑戦の先にある絶景、感動を追い求めて限界に挑んでいく。

母校・滝川高校での講演の様子


問い合わせは、info@chosensha.com

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