1番起用ピタリ! 今川優馬が母に贈ったマルチ安打「6人も育ててもらって、すごく苦労してきた」
■パ・リーグ9回戦 ロッテ5ー6日本ハム(5月12日、エスコンフィールド北海道)
今季初の1番スタメン 6人きょうだいの長男が躍動
日本ハムの今川優馬外野手(27)が12日、エスコンフィールド北海道で行われたロッテ戦に「1番・DH」で先発し、4打数2安打と気を吐いた。母の日に躍動した6人きょうだいの長男は「野球で恩返しがしたい」と、深い感謝の念を一振りに込めた。
前日の試合後に新庄監督からスタメン予告
ボスの期待に結果で応えた。新庄監督は前日のゲーム後に、報道陣に対して今川の起用法を予告。リードオフマンを託された背番号61は「きのうの一丁締めの時に『あしたスタメンね』って言われて、おお、来たか~と。その後に記事を見て、1番か!?となりました」と気持ちを高めた。
きょうだいを招いて〝前夜祭〟
その夜はきょうだいを自宅に招いて、すき焼きパーティーを開催。「ゆっくり良い時間を過ごしてリラックスできたので、割と緊張しないで臨めました」と、最高の精神状態で勝負の日を迎えた。
不退転の覚悟で1軍昇格 「毎試合が命懸け」
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試合開始直前にはベンチ内で祈るようにバットを見つめ、集中力を高めた。
「僕は次にファームへ落ちたら、クビになるぐらいの覚悟を持って昇格してきている。毎試合、毎試合が命懸け。それぐらいの気持ちを持って臨んでいます」
実直な男の願いは、勝利の女神に通じる。第1打席の初球を左越え二塁打すると、三回の第2打席でも左前打をマーク。「(第1打席の)あの一球に全てを懸けていた。甘い球が来たら、いこうと決めていました。仕留められて良かった」と快音を連ね、白星に貢献した。
胸に秘める母への感謝 「喜んでいる姿を見たい」
特別な一日。どうしても活躍を届けたい人がいた。札幌で生まれ育った今川は、6人きょうだいの長子。温かくにぎやかな家庭を築いてくれた母の存在を、心からリスペクトしている。
「朝早くからお弁当を作ってくれたり、そういった姿は見てきた。6人も育ててもらって、すごく苦労してきたと思う。なんとか野球でかっこいいところを見せて、喜んでいる姿を見たいです」
忘れられない愛情たっぷりの弁当 チーズケーキは「世界一好き」
忙しく働き、大家族を支えてくれた母は、高校入学時に体重が60キロしかなかった今川のために、毎朝4時起きで弁当作りに励んだ。大きなタッパーに米を敷き詰め、その上におかずをたっぷり乗っける。栄養と愛情の詰まった弁当が、筋骨隆々な現在の肉体の土台を築いてくれた。
立派な大人に成長した今でも、母が作ってくれるチーズケーキを「世界一好きです」と誇る。孝行息子は家族のため、チームのために、これからもバットを振り続ける。
今季〝初勝利〟に感無量 「新庄監督に感謝したいです」
「僕が試合に出て勝ったのは、(今季)昇格してから初めて。やっとチームの勝利に貢献できました。チームの状態が良い時に1番で起用していただいたので、新庄監督に感謝したいです」。心優しいスラッガーが、爽やかな風を吹き込んでいる。