ファイターズ
《ハム番24時》5月15日
珍しい光景だった。14日の試合、捕手登録の4人全員がスタメン出場したことで、それは起きた。伏見に打席が回ると、攻撃から守りに移行する時、防具装着に時間がかかる。本来は控え捕手が間をつなぎ、投球練習の球を受けるが、いない。〝第5捕手〟を務めたのは内野手の細川だった。
ミットを持って素早く本塁付近に向かい、丁寧に構えて山崎の球を受けた。伏見が戻るまでの代役とはいえ、大事な仕事で「緊張感? ありますよ、それは。僕が変な捕球して崩れたらイヤやなと。それだけ考えていました」と好投のリズムが乱れないよう、神経を使っていたそうだ。
小学生時代は捕手を務めたことがある。昨季、短期間だが、プロで初めて捕手の訓練を積んだ。その経験が意外な形で生きて「僕が一番、若手でもあるので、ちょっとだけかじらせてもらいました」と笑った。
試合後、山田バッテリーコーチに控え捕手不在の難しさを尋ねると「何も問題ない。細川もいるから大丈夫だよ」と涼しい顔で答えた。その言葉を本人に伝えると「それ、山田さんの冗談です。僕にも『おお、おまえあるぞー』とか言ってくるんですけど、ないです。絶対ないです」と首をブルブルと振った。
もちろん、万が一のアクシデントは起きない方がいい。ただ、身体能力が高く、内外野をどこでもこなせす器用な細川なら―。山田コーチと同じように、記者もなぜか期待してしまう。