新庄監督 成功確信の秘策で追加点 冴え渡るベンチワークで5連勝呼び込む
■パ・リーグ7回戦 西武3ー12日本ハム(5月15日、エスコンフィールド北海道)
3ー0の二回2死一、三塁でダブルスチール
日本ハムの新庄剛志監督(52)が15日、エスコンフィールド北海道で行われた西武戦の二回に温めてきた秘策を繰り出した。2死一、三塁で重盗を仕掛け、一塁走者がけん制で挟まれる間に三塁走者が生還して追加点をゲット。意表を突く頭脳プレーで主導権を引き寄せ、5連勝につなげた。
電光石火の積極采配ズバリ 選手も任務遂行
足音は立てない。静かにわなを仕掛け、獲物を捕らえた。万波の3ランでリードを奪った後の二回。次の1点が明暗を分けると判断し、指揮官はとっておきの戦術を選択した。1年目から一、三塁の局面を好み、リスクをいとわず、動いてきた。狙いは完璧にはまった。4点目が入ると、万歳するように両手を挙げ、任務遂行した選手を称賛した。
雄弁な指揮官 試合後に〝種明かし〟
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試合後、詳細を問われた新庄監督は「それ、聞きます?」とおどけてから、全貌を打ち明けた。
「(一塁走者のスティーブンソンは)ギャンブルスタート。ピッチャーが動いた瞬間にスタートを切って、そのまま止まらずにセカンドに行き、サードランナー(の水野)はファーストがセカンドに投げた瞬間にホームに走る、という作戦。しっかりと選手がキャンプからやってきたことを、ただただやってくれただけ」
ローリスクハイリターンの2段構え
相手のリアクション次第で変化する2段構えの作戦。スティーブンソンは思い切ったスタートを切るため、けん制が来なかった場合、高確率で二、三塁となる。けん制が来た場合は、タイミングを見計らって水野が本塁を陥れる。
相手布陣も考慮 「僕の判断は良かったと思う」
いちかばちかの勝負ではない。成功の確信はあった。西武の一塁手がプロ1年目の村田だったことも関係していて「どあーっと行く(動きだす)から、ファーストが(慌てる)。ここもポイントなんですけど、ルーキーの村田くんは必死なので、間違いなくセカンドに投げますよ。あれが(入団)7年半の選手だったら、投げずに(意識が)サードに来られる。そういうところは、僕の判断は良かったと思う」と表情を緩めた。
種をまき水をやり選手は確実に成長
表面上のデータだけでなく、相手選手の心理状態まで推察し、迷わずサインを出していた。就任1年目からあえて奇襲を仕掛け、選手の成長をうながしてきた。多くの失敗も経験したが、ムダではない。3年目の新庄監督は、洗練された感性とブレない決断力を生かし、快進撃を続けている。