《岩本勉のガン流F論》大勝の中にも競争の意識を緩めない確固たる信念
■パ・リーグ7回戦 西武3ー12日本ハム(5月15日、エスコンフィールド北海道)
効果的だった二回のダブルスチール
打ちも打ったりの19安打。水野にプロ第1号も飛び出した。見どころ満載のファイターズだが、ダブルスチールを仕掛けて奪った二回の4点目が実に効いた。3点と4点では大きな違いがある。序盤ではあるが、試合を決定付けるぐらいの重みがあった。
抜群のスタートを切った水野 秀逸な走塁
そのシーン。2死一、三塁で水野が抜群のスタートを切った。投手からのけん制を受けた一塁手の村田が遊撃手の源田に送球したと同時に本塁へ向かった。まさに秀逸な走塁だった。先発の北山は四回に3点を奪われたものの、五回のマウンドを任された。結果は5回3失点。野手への感謝を次の登板で形にしてもらいたい。
なぜ強いのか日本ハム
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これでチームは5連勝。貯金は今季最多を更新する「7」となった。ハッキリ言って強い。では、なぜか。それは至ってシンプルだ。先発ピッチャーが試合をつくり、4番が仕事をしている。そこが根っこにある。マルティネスは開幕当初こそ調子を落としていたが、今は〝隠れ絶好調〟状態にある。2死からの得点も多い。これは相手投手の心を折る。最後の踏ん張りをさせない。ピッチャーにとって嫌な攻撃ができている。
選手個々が作戦の意図を理解
そして何より、選手が作戦の意図を把握しているのが大きい。サインを受けた後の行動が芳しく滑らかだ。二回の重盗もしかり。采配自体は昨季、おととしと変わりはない。過去2年の蓄積が生きている証拠だ。成功率はグンと上がっているはずだ。
絶妙な新庄監督の〝あおり采配〟
新庄監督の〝あおり〟も見事だ。一層の活躍を促す采配は絶妙。ヒットを打った選手は「もう一打席!」と前のめりになる。そのタイミングで、すっと交代させる。大勝の中にも競争の意識を緩めない確固たる信念が見て取れる。選手もそれに応える。1番に起用されたスティーブンソンは3安打。代走から途中出場のベテラン中島も七回の第1打席で中前打を放った。
OBとして誇らしい 試合後のウエートルームで目撃
試合後、OBとして誇らしいシーンを目撃した。バックヤードを通って球場を後にする時、扉が開いていたウエートルームに目を移した。結構な人数がガンガン汗を流していた。大勝したということはライバルも成績を残したということ。この競争意識こそがチームの好調さを支えている。