大麻が昨秋全道8強とわの森を撃破 20年ぶりの春で公立旋風起こすぞ
■春季全道高校野球札幌支部(5月15日、札幌円山球場)
▽Cブロック代表決定戦 大麻6-1とわの森
投打のかみ合った大麻が、昨秋の全道8強のとわの森を撃破。20年ぶり2度目の全道切符をもぎ取った。一回に3点先制すると、この春に初めてエースナンバーを背負った先発の高橋制央投手(3年)が1失点完投勝利。スタンドに駆けつけたチアリーディング部やブラスバンドの応援を背に、逃げ切った。17日に全道大会の組み合わせ抽選会が行われる。
松下捕手とがっちり勝利の抱擁
九回2死二塁。高橋制が最後の打者を前にマウンド付近で屈伸して自らを奮い立たせると、フルカントから投じた143球目は一塁手頭上への飛球。打ち取った瞬間、大きく右手を空へ突き上げ、両手を広げて松下龍捕手(3年)の元へ。「ここまでできると思ってなかったんで、投げ切れてよかった。俺らで絶対チームを勝たせよう、と言っていたので『俺らほんとにやったぞ』という気持ちで」女房役の松下と、がっちり抱擁した。
2段モーション取り入れ幻惑投球
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幻惑投球で打者の打ち気をそらしまくった。今春解禁になった2段モーションを基本に、時に1段、さらに2段でも左足をゆっくりあげたりと工夫。積極的に打ってきたとわの森打線から凡打の山を築いた。七回に2連打で1点返されたが、ギアを入れ直して後続を0で断ちきり、最後までマウンドを譲らなかった。「きょうはマウンドが合わなくて腕が触れてなかった。コントロール重視だったんで、9回でも全然疲れはなかったです」。実際、四死球はわずかに1個だった。
スタンドの応援に感謝「あれが本当に力になった」
つらい場面は何度もあったが、スタンドの声援に救われた。全国大会に出場する強豪チアリーディング部と、ブラスバンド部総勢78人がチームの背中を押した。高橋制は「3ボールになってから『頑張れ』と言ってくれて、あれが本当に力になって、うまく打ち取れました」とスタンドの応援に感謝した。
昨秋まで球速は128キロ。球速がないなりにたどり着いた結論は打者のタイミングをずらすこと。通常のノーワインドアップに加え、足を素早く上げてからゆっくりと降ろしたり、クイックで投げたり3種類の投げ方をしていた。自分なりに工夫したが秋は背番号10。札幌支部1回戦の札幌大谷戦では2番手で登板も、1-13で七回コールド負けした。
最初はバランス崩れたが体幹鍛え球速もアップ
高校ラストイヤーを前にした今年2月、高校野球でも2段モーションが解禁。高橋制も球速を上げるために取り組んだところ「思ったよりも球が伸びた」。「最初は足のバランスがバラついてて、アンバランスな状態だったんですけど、冬練習の体幹メニューとか、つらいメニューをこなしながら2段モーションにどんどん慣れていって、踏み込みも抑えられるようになった」。さらに球速も準決勝で最速を7キロ更新する135キロをマークした。
味方も八回まで無失策でエースを援護。20年前の初出場時も指揮を執った小松暁監督(55)が「エラーが出ると、バタバタバタっといくことが多かったんですが、その辺がすごく克服できている。そんなに派手な選手はいないが、コツコツ打てるチームになってきた。今日は勝つなら打ち合うしかないから、勝っても10-9とか9-8とか、打ち負けないで行こう」と選手をグラウンドへ送り出した。予想を超える快勝ぶりに「そこまでの手ごたえはなかったので、ちょっとびっくり」と公式戦で成長を見せたナインに目を細めた。
自信ついた「公立校の中では絶対強い」
今年は創部40周年。高橋制は「確実に自分たちは公立校の中では絶対強いんだっていう、強気な自信がついてきました」と気力も充実。全道大会初戦は全校応援が予定されている。「自分も力入っちゃうと思うんですけど、いつも通りの自分たちの野球やれば絶対どんな相手にも勝てると思ってるんで、集中してやっていきたい」。春の全道16校中、公立校は5校。春の全道初勝利を狙う大麻が公立旋風をけん引する。