仙台育英の道産子右腕・佐々木広太郎投手が右手中指骨折から見据える「立たなきゃいけない場所」
昨秋はエースナンバー背負う
22年夏の甲子園で東北勢初優勝を果たした仙台育英で、大ケガからの復活を期す道産子右腕がいる。昨秋、同校のエースナンバーを背負った別海町出身の佐々木広太郎投手(3年)だ。23年春の選抜甲子園では初めて聖地のマウンドを踏んだ。今年3月の練習試合で利き腕の右手中指を骨折するアクシデントに見舞われてしまったが、回復は順調。最後の夏へ向け、いよいよ本格的に再始動する。
バントの際に中指骨折して手術
3月31日に行われた練習試合でバントを試みた際に右手中指を負傷。4日後に手術を行い、全治3ヶ月と診断された。高校入学後初めて大きなケガを負ったが、驚異の回復を見せ、今月中旬からはボールを投げる許可が下りた。
焦りなく復帰後のプランも明確
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チームは春季大会の真っ只中だが、「夏1本。体はもうできているので、投げる体に合わせていく。焦りはあんまりなくて、自分が戻ってやることはもうはっきり分かっている。6月中にピッチングができるようになって、7月の半ばぐらいに合わせて、前ぐらいのパフォーマンスが出せるようにしたい」。復活の舞台は7月6日開幕の全国高校選手権宮城大会だ。
中学時代は全国大会に2度出場
別海中央中では主に捕手としてプレーした。全国大会には、今春の選抜甲子園に出場した別海の主要メンバーらと共に2度出場。当時登板するのはピンチの場面での火消し役だった。仙台育英には「サードで入った」はずだった。ところが22年6月に行われた1、2年生合同の関西遠征で本格的に投手専念が決まった。2年春の選抜甲子園では2次登録だったものの背番号17を付けてベンチ入りすると、3回戦の龍谷大平安戦では聖地初登板を果たした。
決め球はスライダー
夏は甲子園準優勝も佐々木はメンバー外。3年生が抜け、最上級生となった昨秋は最速144キロの直球を武器にエースナンバーをゲットしたが、「本当に力不足って感じでした」と県大会3回戦で敗退。残された甲子園出場のチャンスは、最後の夏だけになった。冬の間は右打者に対する決め球のスライダーと、直球のコースへの投げ分けを磨いた。
インコース攻めが重要
「上のレベルになってくると、インコースを攻めることが重要。直球は空振りだけじゃなくてファウルを取って、スライダーをまぜて打ち取る。三振は別にいらない。取りたいところで取れればいい。基本は130キロ台後半で、145キロはいつでも出るよ、みたいな感じ」。トップギアはここぞの時まで封印する。
球速にこだわりなく制球力を重視
22年の全国初制覇の時には140キロ台の投手が5人ベンチ入り。今春は佐々木の代わりにエースを務める150キロ右腕の山口廉王投手(3年)を筆頭に、メンバー外も含めると10人ぐらいはいるという。自身は現在、最速145キロだが、「球速はあって困るもんじゃないけど、ピッチャーはコントロール。こだわりはなくていい」と、気にする素振りはない。
別海で誓い合った甲子園での再会
最後の夏、集大成の舞台はやっぱり甲子園のマウンドだ。昨年末の帰省時、別海のメンバーと甲子園での再会を誓い合った。「仙台育英にいる以上は、立たなきゃいけない場所。そこに立つからには、行けなかった人が数えきれないぐらいいるので、普段の取り組みから恥ずかしくない行動をすることが大事。死ぬ気で(背番号)1番を取りに行くけど、チームが勝つことが一番。自分のやるべきことをまず徹底してやることからやっていきたい」。才能豊かな道産子右腕が完全復活を信じて夏に向かう。