《荒木大輔のズバリ解投》本調子ではない伊藤大海に見た確かな成長
■パ・リーグ12回戦 日本ハム3ー4ロッテ(5月19日、ZOZOマリンスタジアム)
間違いではないセットアッパーの回またぎ
河野がサヨナラ本塁打を浴びた。今季ここまで安定感抜群だったが、こういう日もある。八回に2番手で登板し3者凡退。2イニング目に手痛い一発を食らった。セオリーでは九回のマウンドは3番手への継投だろう。ただ、河野の続投は決して間違った策ではない。あらゆる状況が重なってのことと予想する。
信頼度が高い田中正、杉浦、河野だから…
まず翌日は試合がない。そして球数。1イニング目の八回を9球で終わらせていた。何と言ってもカード1、2戦目を勝てていなかった。落とせない3戦目。今、リリーフ陣で最も信頼度が高いのは田中正と杉浦、河野。ベンチは延長十二回までを想定したのだろう。河野に託しても不思議ではない。もし仮に、事前に河野へ複数イニングの可能性を伝えていなかったならば、キツいが、そうでないなら、仕方ない。
逆球に、いまひとつの直球 「調子は良くなかった」
この記事は有料会員限定です。
登録すると続きをお読みいただけます。
先発の伊藤には確かな成長を見た。調子はハッキリ言って、良くはなかった。逆球もあり、ボールの走りも、いまひとつで一、二回で3失点した。彼の状態を計るバロメーターはストレートで押せるかどうか。この日は直球が少なめ。うなずける。
あらゆる引き出しを開けた道産子右腕
それでも結果は7回3失点。クオリティースタート(先発し6回以上で自責点3以内)だ。三回以降は追加点を防いだ。状態が良くない中でも、豊富な球種を駆使して粘った。カットボールやスライダー、チェンジアップと、あらゆる引き出しを開けてしのいだ。
開幕投手で芽生えた責任感
昨季までならば、状態がイマイチの場合、どこかのタイミングでプツンと緊張の糸が切れ、ノックアウトされるシーンもあった。それが今季はない。終盤にバタバタすることも皆無だ。開幕投手を任され、今まで以上に責任感も芽生えたのだろう。また一歩、たくましくなった。
尾を引かない負け越し プレッシャーを与えている中軸
チームは今カード、1分2敗。負け越していいことはない。ただ、粘り強く戦えている。八回も1死からヒット、四球、四球とプレッシャーをかけて同点に追い付いた。クリーンアップの一人一人を見れば、それほど本塁打、打率で優れた成績を残しているわけではない。それでも相手投手に数字以上の脅威を与え、警戒させることができている。四回無死二塁での郡司の進塁打(一ゴロ)も見事で、価値がある。尾を引く連敗、負け越しではない。