遠軽が〝NEO満振り打線〟で22年ぶりに春の円山1勝【春季全道高校野球】
■春季全道高校野球大会(5月22日、札幌円山球場)
▽1回戦 遠軽14-4稚内大谷 ※七回コールドゲーム
13安打中6本が長打の破壊力と冬に磨いた走力で5盗塁
2013年の選抜甲子園に21世紀枠で出場して1勝している〝満振り打線〟の遠軽が稚内大谷に14-4の七回コールドで勝ち、22年ぶりに春の全道で白星を挙げた。4番・小森結斗捕手(3年)が四回に走者一掃の三塁打を放つなど、13安打中6本が長打という破壊力はそのままに、冬の間に磨きをかけてきた走力を生かして5つの盗塁をマークした。勝った遠軽は24日の2回戦で札幌国際情報と対戦する。
阿波監督もうれしい全道初勝利
07年以降、春の全道では10回連続で初戦敗退が続いていたが、負の歴史にピリオドを打った。18年7月に就任した阿波克典監督(38)にとっては、前任校を含め3季通じて北海道大会初勝利。「『NEO満振り打線』ですね。今日はよく打ってくれた。コールド勝ちでしたけど、20何年間、勝てていなかったのと、自分自身も全道初勝利なので、生徒たちには非常に感謝したい」と声を弾ませた。
昨年は春、夏と善戦するも秋に支部敗退
昨春の全道1回戦では、優勝した北海を相手に延長十回タイブレークの末に9-10で敗戦。夏の北北海道大会は1回戦で準優勝した旭川明成に2-4と接戦を演じた。ところが昨秋は支部初戦(2回戦)で北見北斗に6-7で敗れた。指揮官は「精神的なもろさっていうか、チームの一体感を感じなかった」とオフは基本に立ち返った。「まずしっかり自分の苦手なボールを打つ。あとは遅いボールを、素振りだったりスタンドティーだったり、派手じゃないことをずっと冬にやってきた。敗戦から学んで今に至るかな」と力強さに磨きをかけた。
低反発バットでの長打減少を見据えて走塁練習に着手
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この試合で3安打の小森は1年秋から主砲として出場。オフは毎日、自分自身が納得のいくまでバットを振り続けた。昨秋に北見北斗の軟投派に打ち負けたこともあり、素振りに加え、緩いボールを打つ練習も行った。「冬の間はバッティングと筋トレと走塁って感じ。質は良くなった」。低反発バットの影響で長打が減少することを予想し、単打でも盗塁で進めば、長打と同じ結果になるという理由で走塁練習にも時間を割いた。
支部では速球派から連続2桁得点
北見支部では準決勝で紋別の150キロ右腕・池田悠真投手(3年)や、代表決定戦では北見柏陽の146キロ左腕・山内悠生投手(3年)から2試合連続で2桁得点をマーク。長打は0本ながらも、しっかりと得点につなげた。小森も両投手から安打を放っており「いい経験をさせてもらってます」と胸を張った。
部員は過去最多78人
ここ数年、遠軽町は町外からの進学者に力を入れ、今年の部員は過去最多78人の大所帯。約50人が2棟の寮で寝食を共にしている。小森が暮らす寮の寮監は阿波監督。「グラウンドとは違くて、優しくて、お父さん、パパみたいな存在。2年生の頃から同じ寮で住んでいたんですけど、その分、絶対に勝たせてあげたい気持ちが強いので、自分たちもうれしく思っています」と、指揮官の全道初勝利に笑みを浮かべた。
次は昨秋全道8強の札幌国際情報
24日の2回戦は、昨秋全道8強の札幌国際情報。「遠軽は打線が非常にいい。自分が4番である以上、一番打たないといけない。つくってもらったチャンスは絶対に返す気持ちで取り組んでいます。自分たちの武器であるバッティングと走塁を活かして、次も一戦必勝で勝ちたい」。初戦快勝の勢いに乗って、準優勝した02年以来の4強進出に挑む。