旭川実業・田中稜真投手が自己最速151キロ! NPB10球団の視線を独り占め【春季全道高校野球】
■春季全道高校野球大会(5月23日、札幌円山球場)
▽1回戦 旭川実業5-3札幌大谷
6年ぶり出場の旭川実業が、初優勝へ向けて好発進した。NPB10球団が視察に訪れる中、エース田中稜真投手(3年)が、0-3の二回無死満塁からロング救援。自己最速を3キロ更新する151キロをマークするなど、8回投げて被安打1、無失点。味方打線の援護を受けて逆転勝ちで2回戦に駒を進めた。
3点ビハインドなお無死満塁 絶体絶命の大ピンチ
これ以上、点数をやるわけにはいかないピンチでマウンドに上がった絶対エースが、初球からギアをトップに入れた。1人を打ち取り、次打者の3球目。二ゴロに打ち取った直球がスコアボードに「151」を灯すと、スタンドがざわついた。3人目も中飛と、3者凡退でピンチを切り抜けると、五回まで4イニングをパーフェクト。六回の先頭に安打を許したが、安打はそれだけ。「調子が良かったら150キロがいつ出てもおかしくない状態だった。ストレートの質がもっと上がってこないと。あそこで空振りのストレートが欲しい。150キロが出るなら、もっと強い真っすぐ、もっと上を目指していかないといけない」。球速はただの数値でしかない。バットにかすることすら許さない、理想の直球を追い求める。
オフは1日7食の食トレで体重増
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オフは1日7食の食トレで、昨秋に比べて8キロ増の78キロ。さらに昨秋の全道では札幌市内の宿舎で「もう何も考えずに、食べたいもの食べて、朝少ししか食べないとか」。それが筋トレに詳しい長兄の琢真さん(24)に影響を受け、サプリを摂取するなど体に取り入れる栄養を勉強した。今大会も札幌市内での宿舎生活。「バイキングだったんですけど、果物をたくさんとって、消化のいいものを取るように。脂物もできるだけ省いてる。食事の管理のことをずっと気にしてたので、 そこでしっかり食べたいもの選ぶんじゃなくて、少し考えて食事を取るようにしてます」。昨季、試合中に足がつって苦しんだこともあったが、劇的に改善。いつでも100パーセントのパフォーマンスを発揮できるよう、普段から細心の注意を払っている。
ロッテの兄・楓基投手の高校時代を超えた
球速は兄を越えた。3学年上のロッテ・田中楓基投手(20)の高校時代の最速は150キロ。「与えられた環境は違っている。野球人としては、余裕もそうですし、まだ兄の方がほんとに上のところにいる。舞台も兄の方がプロ野球という舞台でやれていて、スピードは勝てたけど質が気になる」。自らも目指す、国内最高峰のマウンドを見据えている。
OBの坂口前監督が顧問として野球部復帰
さらに力強い援軍が戻ってきた。兄が2年の夏まで指揮を執っていたOBの坂口新さん(40)が、今春から顧問として野球部に復帰した。「一番は配球でロングが投げられるようになった。坂口前監督が、春から戻ってきてくれて、すごく勉強させてもらっている。今まで考えたことのないような野球が、頭に叩き込まれている。ただ単に投げて、打って、走って、という野球をしてきたのが、一球一球すごく考えるようになった。打者に一球一球考えて投げた結果、最終回まで投げられている。最後まで投げきろうとは思ってないですけど、その積み重ね」と、厚い信頼を寄せている。
南北海道の強豪相手に「どこまで通用するか、試したい」
2回戦はセンバツ甲子園出場の北海。札幌大谷に続き南北海道の強豪と対戦する機会は今大会が最後。「どこまでストレートが通用するか本当に楽しみだった。まだまだ試合も続くと思うので、もっとストレートを試してみたい。夏のためにどういう戦い方ができるかを考えて、絶対勝ちにいく考えは忘れずに、いつも通りに最後までやり通す。その結果どうだったか。やること変えずにプレーしたい」。道内ナンバーワン快速右腕が、春の頂点を奪いにいく。