1軍復帰の山本拓実 「目をつむって呼吸に集中…」 カムバック支えた〝師匠〟の助言とは
■パ・リーグ12回戦 オリックス9ー3日本ハム(5月23日、エスコンフィールド北海道)
八回に4番手登板 明暗分かれた2イニング
小さな豪腕がリスタートを切った。1軍再昇格を果たした日本ハムの山本拓実投手(24)が23日、オリックス戦の八回に4番手で登板。最速153キロの直球を軸に、2回1失点で投球を終えた。八回は3者凡退、九回は2安打2四球と明暗くっきり。収穫と課題を得る復帰戦となった。
39日ぶりの1軍マウンド 次回登板へ気持ち新た
不運が重なる日々を乗り越え、1軍の舞台に帰ってきた。4月14日のオリックス戦以来となった登板を振り返り「1イニング目はすごくうまくいったけど、2イニング目は自分の体力的な問題がありました。球種を変えるのか、狙い所を変えるのか。回またぎも求められる立場なので、次はこうしようというプランを立てたい」と視線を切り替えた。
好調維持し開幕したが… 4月18日に登録抹消
4試合に登板したオープン戦では、自己最速を更新する156キロを計測するなど、4回7奪三振でアピールに成功。ハイパフォーマンスを継続して開幕を迎えた。
しかし、直後にアクシデントが待ち受けていた。4月上旬。上半身のコンディション不良を抱えると、投球フォームが一気に崩れた。登板3試合連続で失点を重ね、4月18日に登録抹消。移籍2年目は、先行き不安なスタートになった。
2軍では体調不良も 心身ともにどん底
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再起を期して向かったファームでは、体調不良にも悩まされた。明け方に吐き気を覚え、トイレに駆け込んだことも。一時は心身ともに、どん底までたたき落とされた。
しかし、思いがけない形で状況は好転する。体調不良が原因で2日間、ベッドで寝たきり生活を送ると、上半身のコンディション不良が嘘のように消え去っていた。
効果抜群だった谷元打撃投手のアドバイス
フィジカル同様にズタボロだったメンタル。〝師匠〟と仰ぐ谷元打撃投手に助言を仰ぎ、立て直した。勧められたのは『マインドフルネス』と呼ばれるめい想の一種だ。
山本拓は「目をつむって呼吸に集中する。その時に浮かび上がる不安や心配を、水に流すイメージです」と、集中力を高めるための取り組みについて説明する。就寝前、練習中、マウンド上。時間や場所を問わず行える新たなルーティンが、再出発を支えてくれる。
復帰登板前のブルペンでも実施
「きょうはブルペンでもマウンドでもやりました。プレートの前に立って深呼吸して、雑念を水に流すイメージでパッと集中する。ポジティブ(な考え)を自分に言い聞かせながら、投げられました」
戦うべき場所は1軍のマウンド 「ここでやるのが野球選手」
オフには覚悟を決めて、北海道に居を移した。戦うマウンドは1軍であるべきだと、自らに言い聞かせる。
「あらためてエスコンはすごい球場だと思えたし、試合前の練習から、ここでやるのが野球選手だと考えていました。みんなより1カ月ぐらい遅れたけど、その分を取り返すぐらい投げたいです」
カムバックした豪腕は、小さな体を目いっぱい使い、強打者たちをねじ伏せていく。