遠軽が4強一番乗り! 投手デビューの宮沢李佑投手が1失点完投勝利【春季全道高校野球】
■春季全道高校野球大会(5月24日、札幌円山球場)
▽2回戦 札幌国際情報1-5遠軽
公式戦初登板で149球の熱投
1回戦で全道22年ぶりに勝利した遠軽が昨秋の全道8強の札幌国際情報に快勝。4強一番乗りを果たした。この日の朝、阿波克典監督(38)から先発を告げられた背番号24の宮沢李佑投手(3年)が、円山球場のマウンドで投手デビュー。七回に3連打で1点を失ったが、149球完投勝利。遠軽は3季通じて初の頂点へあと2勝に迫った。
「まさか投げると思ってなくて」
伏兵が大仕事をやってのけた。最後の打者を一ゴロに討ち取ると、宮沢が感情を爆発させた。「まさか自分が投げると思ってなくて、全然準備もしてなくて。すごい緊張しました。継投で行くからって言われて、不安要素しかなかったと思うけど、なんとか投げきれました」。149球の熱投にも「なんかアドレナリンが出て楽しかった」と声を弾ませた。
満塁のピンチで最速141キロ
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ベンチの期待以上の活躍だった。四回に3四球で満塁のピンチ迎えたが、この日最速141キロをマークした直球を武器にしのぎきった。「あそこで阿波監督も自分に任せてくれて、ゼロで乗り切ったのが多きかった」。これまでは打撃を買われて右翼で出場することもあり、五回には1死満塁から右犠飛で追加点を挙げた。「もう自分で点数もとって、もうずっと試合を楽しんでました」と投打に大車輪の活躍を示した。
阿波監督も驚きの収穫
一番驚いたのは指揮官だったかもしれない。「入学時から期待していたピッチャーだったけど、ケガだったり、うまくいかないことが多くてくすぶってたけど、今回行ってみようということで朝に(先発を)告げました」。これまで練習試合でも5回が最長。当初は2回を目処にマウンドへ送り出した。「こんなに投げられると思ってなかった。継投のピッチャーもずっと準備していて、選手たちにも伝えてたけど、五回ぐらいから彼のピッチングをもうちょっと見たいなと思って、ベンチもそういう雰囲気だったので、預けた感じ。これまではちょっと波があったけど、彼なりにしっかり努力して、チャンスをしっかり待っていた。本当に彼の日だと思います」。完投能力のある投手が1人増えたのは夏を戦う上でも大きな収穫となった。
投手で勝負したい気持ちしかない
日本ハムの本拠地がある北広島市出身。中学時代に北広島ボーイズでチームメートだった坂地虎太郎中堅手(3年)に誘われて遠軽に進学した。去年の春は右肘を痛めて長いリハビリ生活が続いた。野手で公式戦に出場することもあったが「野手じゃなくてピッチャーで勝負したいっていう気持ちしかなくて、ここで投げられたのですごく良かった」。高校ラストイヤーにチャンスをつかんだタフネス右腕が、エース争いに急浮上した。