【ライブレポート】タイトル未定「TETRAPOD」夢の舞台で見せた集大成のステージ【全171カット】
■5月20日、東京・Zepp DiverCity
2年間の歩みを「5・20」に刻み込んだ―。札幌を拠点に活動する4人組のアイドルグループ・タイトル未定が、ワンマンライブ「TETRAPOD」を開催した。川本空がこのライブをもって卒業となるため、このメンバーでは最後のワンマンライブ。アンコール3曲を含めて全20曲に魂を注ぎ込み、一つの集大成を見せた。カメラを10台以上を設置し、配信されたツイキャスの有料配信アーカイブ(2000円)は6月3日まで視聴可能だ。
熱気に満ちた会場 紗幕を使った演出で開演
タイトル未定が、夢の舞台に戻ってきた。2022年の「TIF(TOKYO IDOL FESTIVAL)」メインステージ争奪戦で優勝し、ステージに立ったZepp DiverCity。あれから2年、タイトル未定は2000人規模の同会場でワンマンライブを開催できるほど大きくなった。この体制では最後となるワンマンライブに、会場は開演前から人であふれ、熱気に満ちていた。ステージ全体に掛けられた紗幕を利用した演出からライブはスタート。まずは18日に公開したばかりの「春霞」のMVが流れ、「鼓動」のSEでカウントダウン。
神秘的に舞う緩急自在なパフォーマンス
「水流」のイントロが流れると、紗幕には波紋が映し出された。その後も歌詞が大きく浮かび上がる演出の中、4人は神秘的に舞う緩急自在なパフォーマンスを披露。そのまま「黎明」へと続いた。イントロでは冨樫優花が「私たちは何者にでもなれる」とMC。4人の歌声も熱を帯びていき、クールに、そして力強く歌い上げた。「黎明」の終わりで紗幕が開けると、谷乃愛の「『TETRAPOD』始まりました~!」というコールと共に「桜味」へ。ここまでとは一転してキュートな春曲でステージを明るく彩った。春の次は「夏のオレンジ」。観客のコール&レスポンスも一層大きくなり、一体感は一気に高まった
卒業する川本空が〝ちくわ節〟全開
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その後のMCでは卒業する川本空が「2年間積み重ねてきたものをきょう全て出し切って、みなさんを幸せにしてから、灰になって帰ろうと思います!」という〝ちくわ節〟全開で会場を沸かせた。MC後はアップテンポな「主題歌」を笑顔満載に、爽やかなサウンドの「栞」を切なく歌唱した。
「春霞」歌う冨樫と川本が涙
そして、冨樫と川本の2人で歌った「春霞」は一つのハイライトとなった。作詞作曲した青葉紘季が「(川本の卒業を)全然知らなかった」というが、奇しくもタイミングが相まって、川本の卒業ソングのような形となった。別れをつづった歌詞に歌声を乗せ、お互いが顔を見合わせると、こみ上げる気持ちが抑えられなくなり、2人で涙した。「ねぇ いつか話をしよう 笑い合って 今日のことを」。
圧倒的な表現力 切なさ伝わる歌声
感動的な空気が漂う中で披露したのは「薄明光線」。4人が見せる圧倒的な表現力に、固唾を飲んで見守るしかなかった。そして10日にリリースした「壊せ」では観客がタオルを振り回し、エネルギーを爆発させた。爽快感あふれる「花」を真っすぐに歌い上げた後は、阿部と谷が2人で「ガンバレワタシ」を披露し、温かく会場を包み込んだ。そんな雰囲気から一気にシリアスな世界観に引き込んだのは「溺れる」だった。切なさや息苦しさを乗せた歌声、ダイナミックなダンス。4人の鬼気迫るパフォーマンスはタイトル未定史上最大の会場をのみ込んだ。打って変わって、続く「僕ら」ではしっとりとしたムードをつくり上げた。
5年目を迎えたタイトル未定。MCでは各々の今の思いを素直に口にした。
■阿部葉菜
私はまだステージに穴を空けることがなくて、体力お化けとか言われるんですけど、心がしんどいなと思っちゃうことが何回かあって、そんなときにすぐ助けてくれたのがここにいるメンバーで、いつも何かあったときに背中さすってくれて『大丈夫だよ』って言ってくれて。だから私はここまで笑ってやってこられたんだなと思います。私は人に頼るのが結構苦手なんですけど、みんなもこれから先、何かあったときに誰かに言えるようになってほしいなと思います。どんなに規模が大きくなって、会場が大きくなったとしても、私は一人一人と大切に生きていきたいなと思います。5年目もよろしくお願いします!
■冨樫優花
2年前の『TIF2022』のメインステージ争奪ライブは、私もみんなもアイドル人生の中で一番大きな出来事だったんじゃないかなと思うくらい、すごく大切な思い出です。そのとき、ここから観た景色はすごく大きくて、ちょっと恥じらいもあって。今は何だかこのステージが2年前より小さく感じます。冨樫もアイドル5年目になりました。音楽が大好きな気持ちとタイトル未定の楽曲をステージの上から私の体で私の声でたくさんの方に伝えたい気持ちはずっと変わっていません。これからもタイトル未定はいろんなものを覆していけるグループになってきたいと思っています。パフォーマンスでこれからも引っ張っていきたいです。よろしくお願いします!
■谷 乃愛
私はすごく今が大好きで、今の4人が大好きです。体制が変わってしまうことを聞いたとき、折れちゃって、もうダメかもって思ってました。でも空ちゃん(川本)の言葉を聞いて、今ここにいるみなさんの顔を見て、メンバーの言葉を聞いて、もうちょっと頑張ろうって思いました。今の4人の体制が変わってしまいますけど、過去の思い出だって、今の思い出だって消えることはないし、全部形に残っているし、だから前を見て、もっともっと頑張っていきます。タイトル未定5年目もよろしくお願いします。ありがとうございました。
■川本 空
私にとって、アイドルになった日からきょうまで全てが、夢のようで幸せな時間でした。タイトル未定でいられたこの時間は今までもずっと宝物です。宝物になったのはいつも支えてくれた一人一人のあなたがいたからです。出会ってくださった全てのみなさんに感謝します。本当にありがとうございました。これからのタイトル未定も変わらず愛してください。タイトル未定は私の誇りです。
「群青」観客席で揺れるリストバンド
そうして始まった「にたものどうし」。4人の歌声が奏でる美しいハーモニーがZepp DiverCityに響き渡った。そして「青春群像」「鼓動」と続いたラストスパートでは、観客も力を余すことのないよう全力で拳を突き上げ、声を出し、手を叩いた。ライブ本編の最後を飾った「群青」では、青白く光ったリストバンドが観客席で揺れた。
アコースティック編成のアンコール
そして、この日のアンコールはアコースティック編成で行われた。デビュー曲の「踏切」、川本が一番好きという「蜃気楼」では4人の透き通った声を重ねた。そして、この4人体制で最後に歌ったのは「灯火」だった。アイドルとして最後に歌う川本の「私たちがみなさんの心の灯火です」というMCでスタート。1フレーズ、1フレーズ、ゆっくりとかつ確実に時は進んでいった。残された時間はあとわずか―。そんな現実に川本は涙をこらえきれず「導いてくれてありがとう」と感謝の思いを伝えた。120分の「TETRAPOD」。4人は楽しそうに、時に切なく、夢のステージで舞い踊った。冨樫優花、阿部葉菜、谷乃愛、川本空のタイトル未定は完結。それぞれの選んだ道を信じて、4人は再び歩き始める。
■「TETRAPOD」セットリスト
1 水流
2 黎明
3 桜味
4 夏のオレンジ
5 主題歌
6 栞
7 春霞(冨樫・川本)
8 薄明光線
9 壊せ
10 花
11 ガンバレワタシ(阿部・谷)
12 溺れる
13 僕ら
14 にたものどうし
15 青春群像
16 鼓動
17 群青
~アンコール~
1 踏切
2 蜃気楼
3 灯火
「TETRAPOD」の模様を写真でお届けします。(全171カット)