北海 4季連続の道大会V王手 新エース浅水が公式戦初の完投勝利【春季全道高校野球】
■春季全道高校野球大会(5月27日、札幌円山球場)
▽準決勝 北海4-2東海大札幌
2年生左腕の新エースが公式戦初の完投勝利で、チームを2年連続の決勝に導いた。背番号1を背負う浅水結翔(ゆいと)投手(2年)が今大会初先発。強力な東海大札幌打線に9安打を許しながらも、粘り強く投げ抜いた。120キロ中盤の直球に変化球を織り交ぜながらの完投勝利。打線も相手のミスに乗じて効果的に得点を積み重ねた。昨秋の全道大会決勝で対戦した難敵を退けて、4季連続の北海道大会制覇に王手。28日の決勝はクラークと対戦する。
左腕躍動128球 雨中の熱闘制した
雨中の熱投でつかんだ白星は格別の味だった。2点リードの九回2死二、三塁。一打同点のピンチだったが、最後の打者を右飛に仕留めると、笑顔で大石広那(こうだ)捕手(3年)とグータッチを交わした。128球の完投勝利に、左腕は汗をぬぐいながら「疲れは全然ないです」と充実の表情を見せた。今大会から1番を背負う2年生の快投に、平川敦監督(53)も「9回を頑張って、しっかり投げ抜いてくれた。ずっと調子が良かったから行けるところまで行こうと思っていた」と称賛した。
先発を告げられたのは球場に向かう直前
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先発を告げられたのは球場に向かう直前だったが、今大会2試合に先発している小野悠真投手(1年)を、この試合で外すことが判明してから「自分が先発かな」と、いつもより長めにキャッチボールを敢行。急な出番に慌てることがないよう、心身を整えてから学校を出発した。
負けた試合はいつも雨降り
準備を怠ることはなかったが、暗雲立ち込める空模様を見ながら、浅水の脳裏には嫌な思い出が蘇っていた。札幌西リトルシニアに所属していた中学時代「負けた試合がほとんど雨だった」という。指先は濡らさぬよう、できるだけグラブの中に指を隠し、雨による体温低下を防ぐために、味方攻撃中のキャッチボールをいつもより早く開始。細心の注意を払いながらマウンドに立ち続けたことが、この日の好結果につながった。
センバツV腕・石垣は小学時代の盟友
内外からの刺激が浅水を大きく成長させている。センバツで優勝した健大高崎の153キロ右腕・石垣元気投手(2年)とは小学生のときの北海道選抜で共にプレーした間柄。「知り合いが甲子園で優勝したので、負けてられない」と鼻息は荒い。そして、チームメートの松田収司投手(2年)の存在も大きい。昨秋は主戦投手としてセンバツ甲子園に導いた松田の姿を見て「悔しかった」と闘志を燃やしていた。その松田が右肘痛でベンチを外れているこの春、一気に階段を駆け上がってきた。「松田頼りじゃなくても勝てるところを見せたい」との言葉通り、背番号1にふさわしい投球でチームを勝利に導いている。名門・北海のエースナンバーは誰にも譲らない。