北海4季連続道大会V 大石が同点アーチ、金澤が決勝三塁打と3年生が躍動【春季全道高校野球】
■春季全道高校野球大会(5月28日、札幌円山球場)
▽決勝 北海3-2クラーク
3年生の意地で全道優勝を勝ち取った。北海がクラークとの競り合いを制し、春2連覇。さらに道内での公式戦は27連勝となり、4季連続で北海道大会を制覇した。1点を追う六回に4番に座った大石広那(こうだ)捕手(3年)が同点本塁打を放つと、続く七回2死一塁からは3番の金澤光流(ひかる)主将(3年)が適時三塁打をマーク。チームの柱として、逆転勝利に導いた。今大会打線は湿り気味だっただけに勝負の夏に向けて、光の見えた打撃だった。
つなぎの4番・大石が貴重な公式戦1号
まずはつなぎの4番が大仕事を果たした。六回1死で打席に入った大石は、1ボールから甘く入ってきた直球を叩いた。乾いた打球音を響かせ、白球はきれいな放物線を描き、そのまま左中間席に着弾。自身の公式戦1号は貴重な同点アーチとなり「つなぐことだけという意識で、コンパクトなフルスイングを心掛けました」と振り返った。
主軸の重圧 金澤の言葉が振り払った
普段から「打順は気にしない」と話す大石だが、知らぬ間に4番の重圧を感じていた。今大会はこの試合前まで10打数2安打1打点と乗り切れずにいた。「支部からいいところで全く打てていないのは分かっていたので苦しかった。(4番は)チャンスで回ってくるのが一番多い打順」と人一倍責任を痛感。当てにいくような打撃も多くなっていたが、そのモヤモヤを払拭してくれたのは金澤だった。試合のない日の打撃練習時に「無理に変えてやるより、自分のやってきたことをやれ」と言葉を掛けてもらい、気持ちが楽になったという。迷いはなくなり、大石らしいコンパクトな強いスイングで最高の結果をもたらした。
主将が決勝打 1、2年生の奮闘に奮起
この記事は有料会員限定です。
登録すると続きをお読みいただけます。
その大石が引き寄せた流れに乗ったのも金澤だった。七回2死一塁から放った鋭い打球が右中間を破り、決勝の適時三塁打となった。「ストライクが来たらいこうと思っていて、いい感じで打てました」と喜んだ。1、2年生投手の奮闘が目立ったこの春。主将として「1年生なんて入って数カ月しかたってないのに、こんなギリギリの展開を経験させてしまって、ずっと申し訳ないと思っていた」とふがいない気持ちでいっぱいだった。
センバツ後はチーム状態どん底
センバツ甲子園に出場後、チームの状態はどん底だった。ゴールデンウイークに行った旭川実業や東海大札幌、国際情報との練習試合ではフルメンバーで大敗を喫した。昨夏からのベンチ入りメンバーも多く、経験はあるが、いまいち突き抜けられない状態が続いた。平川敦監督(53)からも支部予選終了後に「秋から3年生が決められる試合がない」との喝が入った。3年生のみでミーティングを開き「本気で変わらないと」と、意識を統一。打撃で苦労した面もあり、満点回答とはならなかったが、北海道の頂点は譲らなかった。
夏に勝たないと、この優勝に意味はない
迎えるは最後の夏。「夏に勝たないと、この優勝に何の意味もない」と大石。金澤も「最終目標は夏に勝つこと。今から練習を、しっかり追い込んで頑張っていきたい」と続けた。平川監督は「最後の夏は3年生の力で勝ってほしい」と背中を押した。苦しみながら春連覇を果たした。5季連続の北海道大会制覇へ、戦いはすでに始まっている。