〝新庄劇場〟in甲子園が開幕 阪神ユニで登場したサプライズ後は巧みな采配で王者を圧倒
■交流戦1回戦 日本ハム8-2阪神(5月29日、阪神甲子園球場)
超満員の甲子園で〝新庄劇場〟が繰り広げられた。日本ハムの新庄剛志監督(52)が29日、同球場で行われた阪神戦で、強烈なインパクトを残した。縦じまのユニホーム姿で登場してファンの度肝を抜き、試合では大胆な選手起用、繊細な采配を駆使。就任3年目の集大成をぶつけるように戦い、昨季日本一の強敵を撃破した。
メンバー表交換で球場が騒然
試合直前のメンバー表交換で球場が騒然となった。新庄監督が現役時代さながらに、阪神のユニホームにそでを通して登場。スタイルは当時と変わっていない。背番号は入団当初の「63」。両手を広げ、アピールするように本塁付近へ歩き出した。恒例のハイタッチはなく、岡田監督と笑顔で握手。審判団との記念撮影後、マウンド方向へ進み、左翼、右翼のファンへ感謝を込めて一礼した。
誰にも言わずに用意して警告も
試合後に内幕を明かした。「(ユニホームは)1カ月前にオーダーして。サイズも寸法も。誰にも言わずに(用意した)」。フロントにも審判にも、岡田監督にも伝えず、サプライズで強行した。「たぶん(球団の)吉村本部長にあした、めっちゃ怒られます」と苦笑いし「NPBの方から、柔道で言う有効、技あり。あと一回やったら退場と警告が来た」と衝撃の事実に触れた。
雨天中止となって打順をガラリ
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敵地のファンに温かく迎えられたエンターテイナーは、試合でも巧みな采配を披露した。打撃好調の水谷を1番に入れ、主砲の万波を今季初めて2番で起用。雨天中止となった28日は五十幡、中島の1、2番を予定していたが、ガラリとチェンジした。
1、2番が2ラン&ダメ押し打
これが、おもしろいようにはまった。1点リードの五回に万波が大竹から左翼へ2ラン。七回には水谷が中前へ、ダメ押しの2点適時打を放った。4点差になると、迷いなく、守備重視の布陣へ切り替えた。継投も盤石で、2失点しながらも粘っていた先発の伊藤は5回96球で交代。六回から杉浦、マーフィー、鈴木、畔柳とつなぎ、逃げ切った。
パフォーマンスすれば勝ってきた
野球、演出の両面でファンを魅了した指揮官は「こういうこと(パフォーマンスなど)をしたとき、僕は昔から試合には勝っていたので。縁起を担ぐじゃないけど、勝てて良かった」と穏やかに喜びを口にした。完全アウェーのプレッシャーにも屈しなかった。日本ハムの強さが際立つ内容だった。
なすすべなく、3連敗を喫した2年前の交流戦とは全く違う。新庄監督が手塩に掛けて育てた選手、チームは、頼もしく飛躍のときを迎えている。