細川凌平がかなえた1つの夢 「親子の1つの目標が達成できた瞬間だったんじゃないかな」
■交流戦2回戦 日本ハム6ー0阪神(5月30日、阪神甲子園球場)
プロで公式戦初の甲子園舞台 「9番・二塁」でフル出場
足しげく通った球場で、親子の夢をかなえた。日本ハムの細川凌平内野手(22)が30日、甲子園で行われた阪神戦に「9番・二塁」で先発出場。プロ入り後初めて公式戦で甲子園のフィールドに立ち、ハツラツとしたプレーを披露した。
4打数無安打と快音こそ響かなかったが、堅実な守備でアウトを稼ぎ、勝利に一役買った。
カクテル光線に虎党の大声援 これぞ甲子園のナイター
カクテル光線に照らされたグラウンドの上で、深い感動を覚えていた。黄色く染まったスタンドからは、おなじみの大声援が注がれる。完全アウェーの空気でさえ、どこか心地よかった。野球人・細川の原風景は、この夜プレーした甲子園にある。
タイガースに憧れ、甲子園に恋した少年時代
声をからし、全力でメガホンを叩いた。夢中になって試合を観戦した幼い日を思い返し「自分がずっと応援してきたチーム。小さい頃にプロ野球選手を目指すきっかけになったのは、阪神タイガースと甲子園球場。『格好いいな、プロ野球選手になりたいな』って思った場所でプレーできて、不思議な気持ちになりました」と感慨に浸った。
実家には数え切れないほどの阪神グッズ
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京都生まれの細川は家族の影響もあり、物心ついた時から大の虎党だった。OBの鳥谷氏に心の底から憧れ、プロになった今でもグラブの色をまねするほど、リスペクトの念を抱いている。
その熱狂度合いを「オタクみたいなファン」と自称する。実家にはユニホームにリストバンド、タオル、Tシャツ、マグカップ、のれん、帽子と数え切れないほどの阪神グッズを揃えている。
鳥谷氏から贈られたバットは今も宝物
自慢のコレクションを語る時、細川は「今の家には家族が買った僕のファイターズグッズがあるかもしれないけど、自分が持っているのは阪神だけ」とニッコリ笑う。プロ1年目には2軍戦で鳥谷氏と初対面を果たし、その際に譲り受けたバットは現在も宝物として、大切に保管されている。
応援に駆け付けた両親と妹の前で誇らしげにプレー
かつて家族で通った甲子園には、この日も両親と妹が観戦に訪れていた。応援する側から、される側に回った〝孝行息子〟は「良いところを見せたかったですね。でも、ホンマに家族も僕がいつか甲子園でプレーすることを楽しみにしてくれていたと思う。親子の1つの目標が達成できた瞬間だったんじゃないかな」と、悔しさと誇らしさを言葉に乗せた。
さらなる飛躍へパワーチャージ 「特別な時間になりました」
「黄色いスタンドは自分が一番見てきた景色で、きょうは(甲子園に出場した)高校生の時とは、また違って見えました。あらためてホンマにプロ野球選手になっているんだなって実感できて、特別な時間になりました。次に来る時は良い場面で結果を残せるように、自分がレベルアップしないと。これからも一試合一試合、一つずつ勝ちを積み重ねていきます」
味わった感動を力に変えて、北の大地で腕を磨く。