福島蓮 うれしいプロ初勝利! 育成からはい上がった高卒3年目右腕って、どんな男?
■交流戦3回戦 DeNA2ー9日本ハム(6月2日、エスコンフィールド北海道)
5度目の先発でついに! 堂々の7回2失点
日本ハムの福島蓮投手(21)が待望のプロ初勝利を飾った。2日にエスコンフィールド北海道で行われたDeNA戦に先発し、7回5安打2失点と文句なしのピッチングを披露した。育成ドラフトで入団し、プロ3年目の今年3月に支配下登録されたホープ。力強く記念すべき1勝を手にした。今後は一度、登録抹消となるが、早い段階で再び先発の機会が巡ってきそうだ。
小4でチーム入団も子どもの頃の夢は「消防士」
野球が好きな両親の影響もあり、小さい頃からボールを投げて遊んでいた。小学4年からチームに入団し、本格的に練習に励んだ。それでも、当時は「プロ」がイメージできるレベルの選手ではなかったという。
プロになる選手の大半は野球で高校を選ぶが、福島は違った。中3の時点で、将来の目標は「消防士になること」。正義感からでも、ドラマや漫画の影響でもなく、純粋に「消防士、かっこ良くないですか?」と心惹かれた。夜勤がある勤務形態などもきっちり調べ上げ、本気で目指していた。
〝進路変更〟のきっかけにもなったセンバツ甲子園
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消防士になるためには、勉強が必須。家から通えて、学力のレベルも高い八戸西高を進学先に選んだ。スポーツ科学科のある学校だったが、右腕は普通科を選択した。
「消防士を目指して入ったので、勉強も必要だろうなと思って。でも、野球との両立は厳しくて、高1の5月ぐらいに、スポ科にすれば良かったと思いました(笑)。その時はまだプロを目指すどころか、(卒業後に)野球を続ける気もなかったです」。思いとは裏腹に野球の実力はメキメキと上がり、高3春にはエースとしてセンバツ甲子園に出場。その頃には〝進路希望〟を変更し、育成1位でプロ入りを決めた。
両親に植え付けられた信条 「ずっと続けています」
福島には、野球をやる上で絶対に「やってはいけないこと」がある。味方の失敗に対して、嫌な顔をしたり、態度に出したりすること。野球を始めたばかりの頃から、両親に言い聞かせられてきた。
「自分が投げていて、エラーとかをされても、顔には絶対出すな、態度に出すな、とお父さんにも、お母さんにも言われてきました。小さい頃から、それだけは言われていました。小学生って、みんなエラーするじゃないですか。それでも怒らないように、顔に出さないようにと。それは、自分でも大事なことだなと思って、ずっと続けています。いつも、冷静を装っています(笑)」
目の前でプロ初勝利がフイ それでも福島は…
プロの、それも1軍の戦力となった今でも、両親からの教えを忠実に守っている。22日のオリックス戦では、六回途中無失点と好投するも、プロ初勝利が目前で消えた。4点リードの八回に堀が同点となる満塁弾を浴びた。ベンチの福島は一切、責めるような態度はもちろん、残念そうな表情すら見せなかった。柔らかい笑みを浮かべながら、失意の中で戻ってきた先輩左腕を真っ先に出迎えた。福島蓮という男の本質が表れた場面だった。
心優しき長身右腕 さらなる飛躍へ
消防士を目指した思いにも、チームメートのミスを責めない姿にも、根底にあるのは優しさだ。プロ初白星を挙げ、ここからどんなスターに成長したとしても、そこだけは変わらないだろう。