札幌GK中野小次郎が今季ホーム初先発へ意欲 プロの道を切り開いてくれた恩師&元同僚との対戦心待ち
■6月3日、札幌・宮の沢白い恋人サッカー場
ルヴァン杯POラウンド富山戦
北海道コンサドーレ札幌は5日のルヴァン杯プレーオフラウンド第1戦・J3カターレ富山戦(札幌ドーム)へ向けて練習を行った。前日2日のアウェー東京V戦にスタメン出場した選手はリバカリーに専念したが、残りのメンバーは大学生を加えてハーフコートで7対7のミニゲームなどを行った。
3回戦は延長&PK戦の末に突破
リーグ戦から中2日。5月22日の同杯3回戦J3長野戦で120分+PK戦の末に勝利を引き寄せたGK中野小次郎(25)が、ホーム&アウェー方式の初戦に先発出場することが濃厚だ。ミニゲームで好セーブを見せ、「いつも通り冷静にやるだけですし、気負わずしっかりいい準備して試合に挑むだけ。前半は我慢する展開になるかもしれないけど、そこでしっかり我慢すれば、こっちにチャンスができる。そこでしっかり仕留めて、次は(2戦合計の)スコアで勝ちたい」と闘志を燃やす。
2日の東京V戦ではGK菅野孝憲(40)がフル出場し、この日はリカバリー組。3月に加入したGK児玉潤(26)はミニゲームに参加したが、札幌移籍前に同杯に出場しているためにプレーオフラウンドまで出場できない。さらにGK阿波加俊太(29)は練習を欠席しており、過密日程を戦うチームにとって中野への期待度は高い。
みんなの気持ちがすごい見えた
同杯3回戦のJ3長野戦では今季公式戦初出場で、いきなり延長戦を含む120分間フル出場した。「僕自身、久しぶりの出場で、出てない時間が多かった分、チャンスに向けてしっかり準備してきたし、課題に向き合ってきた。変な緊張もせず、いつも通りやるだけと挑んだんで、そこは冷静にできた。いつも出てないメンバーが多い中で、戦術とか技術うんぬんより、みんなの気持ちがすごい見えた。内容はう~んっていうところもあったけど、しっかり最後まで気持ちを見せて、チーム全体で勝てたのは良かった」。
情報&心理戦でPK戦を制す
PK戦では情報&心理戦を制した。事前に赤池保幸GKコーチ(50)から、長野4人目のキッカーを務めたDF・砂森和也(33)が直近の天皇杯でPKを、GKから見て左に蹴って失敗したことが伝えられていた。札幌は先攻で全て決めており、4-3と止めればリーチがかかる状況。「外したから変えてくるのか、もう一回、同じところに蹴るのかっていう心理戦があった中で、もう一回、同じところに蹴りたいだろうなって自分の中で冷静に判断できた」。そこで中野から仕掛けた。「手で右に飛ぶよっていうのを見せておきながら、左に飛んだ。ポストだったけど、ただ単に外したっていう訳ではなくて、しっかりした準備とか情報があった中で止められた1本だった」と胸を張った。
人生を懸けた先発ピッチ
中野自身にとっても覚悟をもって臨んだ試合だった。法政大4年時の2020年に特別指定選手として在籍し、21年に加入。しかしチーム内競争を勝ちきることができず、22年までの3年間でリーグ戦出場は通算13試合に留まった。同年11月にはJ2金沢に期限付き移籍が発表された。けがの影響もあって金沢ではリーグ戦3試合の出場だったが、今季から札幌に復帰した。「僕自身、立場、状況的にも苦しい状況だった。本当に人生を懸けてた。周りの人に『人生懸けてた』って言うと『そんなんで人生懸けたの』って思われるかもしれないけど、本当にこれでダメだったら、サッカー選手としてダメだなって本当に思ってた。そこでしっかり自分の持っていたパフォーマンスができたので良かった」。中野にとっては、一試合一試合がプロとしての選手生命を懸けた勝負だ。
金沢時代に隣県の富山と多く対戦
富山とは金沢時代に隣の県だったため、頻繁に練習試合をする関係だった。「若い選手も多いし、勢いを持ってアグレッシブにやってくる。J3はミスを恐れてない分、それが成功した時にすごい脅威になる。そこはハングリー精神。沼津も長野もありましたし、富山もそれを見せてくるチームだと思う。そこでうちが飲まれないように。長野戦も前半ちょっと押されてたけど、そこを耐えることができたので同点に追いつくことができた」とジャイアントキリングを狙って来る相手の圧力を跳ね返すつもりだ。