9年目で1000投球回達成の加藤貴之 レジェンド左腕が語る後輩への思い 特別な誕生日プレゼントとは
■交流戦3回戦 日本ハム0-1ヤクルト(6月9日、神宮)
日本ハム・加藤貴之投手(32)が9日、ヤクルト戦(神宮)に先発し、7回87球を投げて5安打無失点。持ち前のテンポの良い投球で三塁を踏ませず、NPB史上370人目の通算1000投球回を達成した。
NPB史上470人目の節目
試合前から、あと2/3イニングで節目を迎えることは知っていた。「試合に入ったら何も気にしていなかったです」。初回先頭の西川に中前打を許したが、後続を打ち取って無失点。一回を投げ終わると、ベンチ前で帽子を取って、照れくさそうに記念ボードを掲げた。
両親、トレーナー、監督、コーチに感謝
七回まで安定感たっぷりのピッチングを披露。「久しぶりの神宮だったんですけど、野手の守りもあって何とか粘り強く投げられたかなと思います。けがなく育ててくれた両親もそうですし、トレーナーさんや使ってくれた監督、コーチに感謝です」。好投は報われなかったが、周囲への感謝の言葉を並べた。
〝師匠〟が吐露「コントロールうらやましい」
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プロ9年目で大台に到達。〝師匠〟のような存在である宮西尚生投手(39)は、抜群の制球力を誇る後輩左腕についてこう評する。「良いも悪いも変わらないよね。マイペースで自分のリズムを持っている。それはいいじゃない。本当にコントロールはいいと思う。コントロールいいにこしたことない。うらやましいよ」。
鬼門どう抜け出すか見ていた
1年目から主に先発を務めていた加藤貴だが、入団当初は打者3巡目以降に打たれる傾向があった。先発投手が短いイニングを投げる『栗山流オープナー』として起用されることも。そんな後輩が成長する姿を間近で見守ってきた。「鬼門の初回と五回にハマっていたので、そこをどうやって抜け出すのかと思って見ていたけれど。1回バーンと結果出た時に自信になったんだろうね」。2021年に自身初の規定投球回に達し、そこから3年連続でクリアした。
自身の経験もとに「ここから」正念場
大きなけがなく、コンスタントに投げ続けてきた。今月2日に39歳の誕生日を迎えた宮西は、自身の経験をもとに、これからの課題を挙げる。「けがしないのは、アイツの素晴らしいことだよね。でも、ここからだと思う。勤続疲労も出てくる頃だろうし、体が動かなくなる。その時にアイツも球速がバカ速いわけではないから、ちょっと甘くなったら打たれるやろうし、キレがなくなったら一番打ちやすい球になると思うからそこが難しい」。
そろそろ勤続疲労が来るはず
期待しているからこそ、厳しい言葉を投げかける。「第1の壁は自分でしっかり乗り越えて、いまこういう長いニングを投げられるピッチャーになって、ゲームも作れる。アイツも32。この1、2年で1回(勤続疲労が)くるだろうし、その辺だろうね」と続けた。
コメントがちょっぴり辛口な〝鉄腕〟だが、優しさも持ち合わせている。加藤貴とは「用事あるとき意外は連絡取らへん」と言いつつも、「相変わらずペットよ」とニンマリ。1日違いだった誕生日には、プレゼントを交換し合った。
夏場を乗り切れるように○○○を○万円分
「加藤はアマゾンカードを1万円分くらいくれた。オレはウナギの詰め合わせセット。(他のチームメートと違って)加藤だけLINEギフトじゃない。普通に百貨店で売っているようなウナギのセット。おれのいとこが働いていて、何万円分やってと頼んだ」。夏場を乗り切れるよう、精がつくウナギを贈った。
「しっかりと試合を作れるように」
今後に向けて、「変わらずしっかりと試合を作れるように頑張っていきます」と表情を引き締めた背番号14。レジェンド左腕からの粋なプレゼントをパワーに変え、これからもチームのために腕を振り続ける。