《富山戦後》J3とそんなに大きく力は違わない。簡単な試合は一度もなかった
■ルヴァン杯プレーオフラウンド第2戦 富山1-2札幌(6月9日、富山県総合運動公園陸上競技場)
―試合を振り返って
ホームで戦った試合よりもベターな戦いができた。立ち上がりから非常にアグレッシブに相手に圧力をかけてボールを奪うということができていたし、試合自体、我々が主導権を握りながらコントロールできていた。その中で前半、先にリードする展開がつくれたのは良かったと思うし、非常にインテンシティーの高いゲームが60分過ぎくらいまではできていた。
今の札幌はインテンシティーの高い戦いを長く継続できていない。2-0でリードした中で終了間際に失点したが、途中で入ってきた選手も含めてしっかりとゲームを締めくくらないといけない状況だった。ケガ人が多い中ではあるが、なかなか自分たちの戦いを継続しながら90分を終えることができていないのが、今の我々の現状だと思っている。
―ルヴァン杯を勝ち上がる意義を改めて
札幌の30年の歴史の中で一番、タイトルに近づいたのが川崎とのルヴァン杯決勝(2019年)だ。あの試合は不運なことに延長、PKで敗れたが、あの瞬間、我々が戦ったあの歴史というのは、クラブの中に大きく残っているし、獲れなかったタイトルをもう一度全員で獲りに行きたい、という思いは監督、選手、スタッフ、クラブ、サポーターの中にある。だからこそ毎年毎年、ルヴァン杯に関しても強い思いを持って戦っている。ケガ人や、いろんなコンディションの状況で常にベストな状態の選手を揃えて戦えてはいないが、若い選手も含めてチーム全員で戦い、ここまで勝ち上がって来られたというのは、札幌としては前向きなことだと思っている。
―J3の3チームと戦ったが、レベルをどう感じたか
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私たちが戦った初戦はまず仙台が勝ち上がってくるだろうと思っていたが、沼津が勝ち上がってきた。その後は京都が勝ち上がってくると思ったら長野が勝ち上がってきた。そして神戸が勝ち上がってくると思っていたら富山が勝ち上がってきた。このトーナメントでは、おそらく勝ち上がって来ないだろうと思っていたチームと3試合を戦ったわけだが、やはりそれぞれのJ3のチームというのはJ1のチームやJ2のチームを倒して勝ち上がって来ている。いかに彼らが強いか、それだけの力があるというのを示している。
J3の沼津、長野と厳しい戦いをしながら勝ち上がってきたが、我々の若い選手たちが多く出ている中で戦い、今日は今の札幌の現状の中でベストなチームでの戦いだったが、非常にそれぞれ難しい試合だった。特にホームでの富山との試合は非常に難しいゲームだと思った。今日のゲームも決して簡単なゲームではなかった。
それはいかにJ3のチームの質が高いかを示しているし、そこにいる選手たちも、それぞれしっかりとした能力の高い選手たちだと評価している。
日本は非常に人口の多い国。だいたい1億2000万人くらいいるのだろうが、その中でたくさんのサッカーチーム、たくさんの学校がある。いろんなチームでいろんな選手たちがプレーをしながら、そこから高校に行ったり、ユースで戦ったり、大学に行ったりする中で、みんなプロに上がってくる子たちなんだと思うが、ここにいるJ3の選手たちと我々の選手たち、大卒で入ってくる選手、高卒で入ってくる選手、私はそんなに大きく、力は違わないと思っている。
それはもちろん、どのスカウト、どの監督、コーチ、どの人が見た中でどのチームに入ってくるのか、もちろん運もあると思っている。その中で、今だったらJ3からJ2、J1に上がっていく選手もいると思う。これだけ選手たちがたくさんいる中で、J3のチームというのは私自身、非常に質が高く、能力もある選手たちだと思っている。
我々の特に若い選手たちとJ3の選手たちというのは、そこまで能力は変わらないと思っている。我々は3クラブと戦ったが、簡単な試合というのは一度もなかった。私はJ1、J2、J3と、ほとんどの試合を見ているが、J3のチームも非常に強く、質の高いチームだと思っている。もちろんそこでプレーする選手たちも素晴らしいと思っている。
やはり日本サッカー協会がつくり上げたこの育成のシステム、オーガナイズが非常に素晴らしいんだと思うし、いろんな裾野を広げていく中で、いろんな選手たちがプレーをしながら、そのピラミッドの上を駆け上がっていくというような素晴らしいシステムを日本はつくっているのではないかと思っている。
富山は素晴らしいチームでしたよ。