〝ボクサー顔〟のGK児玉潤が12日天皇杯で札幌デビューへ「今まで積み上げてきたものを信じて」(予想スタメン付き)
■6月11日、札幌・宮の沢白い恋人サッカー場
今季途中から札幌に完全移籍
北海道コンサドーレ札幌は天皇杯2回戦のJFL栃木シティ戦(12日午後7時キックオフ、札幌ドーム)に向けて、チームミーティングを実施した後、戦術練習やセットプレーなどで最終調整を行った。今シーズン途中から札幌に完全移籍加入したGK児玉潤(26)は、栃木シティ戦での先発出場が有力。6部相当のリーグでプレー経験もある苦労人GKが、いよいよ札幌でデビューの時を迎える。
冷静に状況を見てプレーしたい
「チームの戦術や、求められているものをプレーするのが選手。その中で自分のストロングを出せればとは思いますけど、無理して自分の良さを出そうとは思っていないので、そこは冷静に試合の状況を見ながらプレーを選択したい」。札幌でのデビュー戦となることが予想される一戦を前に、児玉は淡々とその心境を口にする。
GK菅野は子供の頃からの憧れ
今シーズン開幕直前にGK高木駿(35)が左膝前十字靭帯断裂の重傷を負ったことを受けて、3月26日にJ3のY.S.C.C.横浜から完全移籍で獲得。4月20日のホーム広島戦(1△1)以降はチームの第2GKに定着し、子供の頃から憧れの選手であるGK菅野孝憲(40)を陰ながら支えてきた。
常に心と体の準備をしてきた
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サブの選手にとって貴重な実戦経験の場であるルヴァン杯には、Y.S.C.C.横浜の選手として1回戦に出場していたため、ルール上、札幌ではプレーオフラウンドまでメンバー入りすることができない。「ルヴァン杯に出られないからといって、モチベーションが下がることは全くありませんでした。幸いにもリーグ戦のベンチ入りができていたし、GKはアクシデントもあるので、もしものために常に心と体の準備をしてきた」と、いつ何時、声が掛かってもいいように臨戦態勢を整えてきた。「そういった中で明日、天皇杯があるということで、心構えはいつもと変わらず、チームのために自分の持てる力を全て出したい」。
プロ選手としてピッチに立てば
桐蔭横浜大を卒業した2020年にJFL東京武蔵野シティFCへ加入。翌21年に移籍した福山シティFCは当時広島県リーグ1部に在籍しており、J1から数えて6部に相当するリーグでのプレーも経験してきた。「天皇杯には地域リーグだった福山時代に出てますけど、改めてプロの選手としてピッチに立つと考えると、今まで積み上げてきたものが正しかったってやっと考えられるし、肯定できる。でも喜びもありますけど、ここで満足したら終わってしまうので。明日の試合では、今まで積み上げてきたものを信じて、結果につなげられるようにしたい」。
菅野とはいじり合える良好な関係
チーム加入から3カ月近くが経過し、すっかりチームにも溶け込んだ。特に菅野からは一番いじられているそうで、「『ボクサー顔』ってよく言われます(笑)。(児玉からも)スゲさんのことをいじるときもあります」と、13年先輩の憧れの存在とも良好な関係を築くことができている。もちろんサッカーに関する話もチームメートと頻繁に交わしており、「ピッチ内外問わずサッカーのことをちゃんと話して、自分のこうしてほしいということや、相手の要求だったりということは意見交換してすり合わせができているので。明日の試合に出れば、そこはピッチで表現できるんじゃなかなというのはあります」と、連係面で不安に感じる要素は全くないようだ。
ホームの応援を背に力に変える
控えGKとして札幌ドームのピッチに立つ中で、サポーターの応援に魅了され、車の中でもYouTubeで公開されているチャント(応援歌)の音源を聞くことがあるという。「札幌の応援は格好良くて好きですね」。そのサポーターの生の歌声を、直接背に受けて戦うこととなりそうな一戦。「大好きなサッカーをすばらしい環境でできるというのは、サッカー選手として本当に幸せなことなので、まずは思い切って楽しめればと思います」。5年の歳月をかけてようやくたどり着いたJ1の舞台。背番号17がそのキャリアにさらに大きな花を咲かせるべく、札幌ドームのピッチへと足を踏み入れる。