アウェー京都戦には命を懸けるぐらいの気持ちで挑んでほしい《河合CRC竜の眼》
ルヴァン杯2年連続8強進出
北海道コンサドーレ札幌はJ3富山とのルヴァン杯プレーオフラウンドで1勝1分という結果を残し、2年連続となるベスト8進出を決めた。この結果はすばらしいし、チームとして誇っていいものだと思っている。
アウェーでの第2戦(2〇1)だが、前半から札幌は自分たちのペースで試合を進めることができた。この日は選手の距離感が非常に良く、スタートから配置のバランスが良かったと感じた。あれだけ選手同士の関係性が築けるとパスコースも増えるし、奪われた際にもすぐにボールに行くことができる。試合を見ていて、今日の札幌は良いなと思わせてくれる入り方だった。
MF近藤が仕掛けてPK獲得
試合を優勢に進める中で、なかなか奪うことができなかった先制点につながったのが、MF近藤が仕掛けてPKを獲得した場面。ペナルティーエリア内の選手は、もう少し早いタイミングでボールを出してほしかったような感じで、決して思うような連係ができていたわけではなかったかもしれないが、近藤がゴール近くまでドリブルしたことによってファウルをもらえたシーンだった。最近は近藤の活躍が目立つが、コンディションが上がってきたこともあるだろうし、チームとしてどこで勝負するかという部分で、自分のストロングポイントの出し方が明確になってきたのではないだろうか。
武蔵の初ゴール 今後につなげて
近藤が獲得したPKをきっちりと決めたのがFW鈴木。武蔵にとってこのゴールが札幌復帰後の公式戦初得点となったが、PKとはいえ点を取れたことで安堵感があるだろう。リーグ戦でもチームを勝利に導くゴールが求められる選手なので、今後の戦いにつなげていってほしい。
空間認知能力が高いから頭得意
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後半6分にCKからのDF中村のゴールで追加点が生まれたが、そのゴールをアシストしたのが近藤のヘディング。東京V戦でも頭でゴールを決めていたが、再びヘディングのポテンシャルを見せてくれたシーンとなった。ゴール前に大勢の選手がいる中で、近藤がボールを触ることができるのは、空間認知能力が高いからかもしれない。172センチとサッカー選手の中では決して高い身長ではないが、ジャンプ力も高く、本当にヘディングが得意なのだな、という印象を受けた。
トラブル対処の選択肢増やして
終了間際にDF家泉のバックパスをカットされて失点を許した。2-0のままで終わることができず、ゲームの進め方という点で課題が残った。あの場面は、家泉のトラップが大きくなってしまったことと、それに慌ててパスを出す意識しか無くなってしまったことで起きたものではないか、と私は捉えている。もちろんトラップミスをしないことが一番良いが、どうしてもミスが起きてしまうこともある。起きてしまったトラブルに対処するための選択肢をたくさん持つ必要があるということは、家泉にとって一つ勉強になったはずだ。
出来が一番すばらしかった岡村
ここまではゴールシーンについて振り返ってきたが、この試合を通して一番すばらしい出来だと感じた選手がDF岡村だ。相手FWに対して負けていられるか、という気持ちが感じられたし、ことごとく相手の攻撃をシャットアウトして格の違いを見せつけた。成長して本当にすごいディフェンダーになったと感じさせてくれた。
今回からJリーグの全60クラブが参加する大会となったルヴァン杯だが、全国のサッカーファン、そして何よりも子供たちにとって有意義な変更だったのではないかと個人的に思っている。J2、J3のチームのホームに来たJ1の強豪チームや、日本代表のスター選手を間近で見た子供たちが、その選手たちを目標にしてプロサッカー選手を目指すことで、日本サッカーのさらなる発展につながっていく。また普段のリーグ戦以上に観客が来場した試合もあったが、より多くの人々にサッカーのすばらしさを感じてもらうことで、新たなファンの獲得につなげていけるはずだ。
練習参加の大﨑 獲得なるか
8日から神戸などで活躍したDF大﨑玲央が札幌の練習に参加している。この原稿を書いている時点では獲得するかどうか、まだ決まっていないが、187センチという恵まれた体格を誇り、フィジカル面もヘディングも強い選手。CB、ボランチの両方をハイレベルでこなせると思うし、ビルドアップの部分でも足元のうまさを感じさせる選手だという印象を持っている。札幌はGKからつないでいくチームなので、足元の技術の高い選手というのはマッチするはず。獲得が決まった際には、とても楽しみな存在だ。
明日15日には非常に大事な京都とのアウェー戦があるが、この試合は生きるか死ぬかの戦いとなる。もしここで負けてしまうと、最下位に沈んだまま相当厳しい状況に置かれる。本当にこの試合に命を懸けるぐらいの気持ちで挑んでほしい。
キーマンは武蔵と荒野の2人
キープレーヤーの一人に挙げたいのが武蔵だ。富山戦で挙げたゴールの勢いをここでも発揮してほしいし、こういう窮地を救うゴールを奪える選手こそチームのエース。京都はDFラインの背後に不安定さを抱えているので、武蔵のスピードで裏をどんどん突いていってほしい。
そしてもう一人は、キャプテンであるMF荒野。拓馬に対するさまざまな声があることは承知しているし、サポーターの皆さんにとって思い描く選手像というのがそれぞれあるとは思うが、私は拓馬はこういう状況に負けないメンタルの強さを持っていると思う。拓馬なりのキャプテン像というものを目指していってほしい。自分の道は自分で切り開くしかないので、その目指すべき姿を追い求めるためにも結果で証明し続けてほしい。