《鶴岡慎也のツルのひと声》ラストチャンスと言ったら失礼だが…それほど彼らにとって大事だったゲーム
■交流戦1回戦 中日4ー0日本ハム(6月11日、エスコンフィールド北海道)
パ・リーグ投手にいないボールの軌道
今回ばかりは相手先発の高橋宏を褒めるしかない。それだけの投球を披露した。プロである以上、仕方ないで終わらせてはいけないが、パ・リーグの投手にはなかなかいないボールの軌道を持っている。プレートの真ん中に右足を置いて投げ、右打者のアウトコースに素晴らしいラインで放る。それでいて、シュート回転でインコースに入ってくる球も強い。
これこそが交流戦の怖さ 攻略できなかった高橋宏
そして厄介なのが、142キロ前後のスプリット。これが低めに決まり、時に抜けて打者のタイミングを外す。打線は、最後まで攻略しきれなかった。これが交流戦の怖さだろう。
千載一遇のチャンスは四回 打席には賢いバッターの郡司
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最大のチャンスは四回に訪れた。1死二、三塁で郡司が打席に入った場面だ。コンタクト能力が高く、賢いバッターの郡司。ショートゴロ、セカンドゴロでも1点という計算が頭にあったはずだ。当てにいってしまった。そこに来たのがスプリットで、結果は投ゴロ。遊ゴロ、二ゴロも許さない高橋宏のピッチングは見事としか言いようがなかった。
素晴らしかった上原の投球 頼もしかった清水のリード
敗れはした。ただ、上原の投球は素晴らしかった。リードした清水も頼もしかった。ラストチャンスと言ったら失礼だが、それほど彼らにとっては大事なゲームだった。今季ここまで未勝利で、前回の先発機会では二回途中6失点を喫していた上原。一方の清水は田宮の台頭もあり、今季初スタメンだった。
最大の武器はストレート 大胆に攻めた左腕
上原は清水のサイン通り、思いっきり腕を振っていた。求められていたのはガムシャラさ。それを見せてくれた。恵まれた体格と優れた身体能力から投げ下ろす150キロの直球は最大の武器。そこにスライダー、カットボールなどの曲がり球、フォーク、チェンジアップといった抜き球を織り交ぜる。基本はやはりストレート。清水は、変化球が多かった前回の登板を映像で確認したはず。直球を多めに要求し、大胆に攻めさせた。
チームに訪れた試練の時
今はチームにとって大事な時期だ。いい時は何をやってもうまくいく。だが、どんなチームにも悪い流れは来る。北山が負傷離脱したり、打線がつながらなかったり。今は耐える時だ。こういう時こそ、泥臭く粘り強く勝ちを拾ってもらいたい。投手は次の1点を与えない。いかに〝下の波〟を小さくできるかが、カギとなる。
何が何でも取りたい次戦 伊藤の好投に期待
次戦は何が何でも取りたい。先発投手は伊藤。開幕投手はシーズンのキーマンになるものだ。交流戦初戦の先発マウンドも彼だった。好投を期待したい。