■交流戦１回戦　中日４ー０日本ハム（６月１１日、エスコンフィールド北海道）

これぞ上原のピッチング！　本領発揮の好投

　日本ハムの上原健太投手（３０）が１１日、エスコンフィールド北海道で行われた中日戦に先発し、７回１失点と好投した。プロ９年目で初の開幕ローテーションをつかんだ大型左腕は、２度の２軍降格を経て、パフォーマンスを取り戻した。

急きょ巡ってきた今季４度目の先発マウンド

　背水のマウンドで結果を残した。北山の負傷によるアクシデントで巡ってきた今季４度目の登板機会。貴重なチャンスを生かすために、立ち上がりから力強くアクセルを踏み込んだ。

三回まで完全投球　「一個一個のアウトがすごくうれしかった」

　直球を軸に投球を組み立て、勝負球のフォークも高い精度で操った。三回までは１人の走者も許さないパーフェクト投球を披露。四回、先頭のカリステに決勝点となるソロ本塁打を献上したのが、唯一の失点シーンだった。

　「考えても考えても結局、何をしたらいいのか分からなくなっていた。きょうは本当に無心で、思い切ったピッチングを目指して試合に入りました。（野手が）際どいところをアウトにしてくれて、こっちも乗っていけた。一個一個のアウトがすごくうれしかったです」

楽しみにしていた〝大将〟との真剣勝負

　六回２死満塁の場面では、かつての同僚だった中田を左飛に仕留めてピンチを脱出。できる限りの投球術を駆使して〝大将〟との計３度の対戦を無安打で乗り切った。

　「すごくお世話になった人で（対戦が）楽しみでした。僕がクイックとかいろんなことをしたら『だるっ…』みたいな、すんごい顔をされました（笑）。でも、そこは僕の持ち味なので。本人も『打てたな』って球はいっぱいあったと思うけど、結果として抑えられたのは良かったです」

心を軽くした建山コーチからのアドバイス

　好投の陰には、建山投手コーチからの助言もあった。前回登板した５月２３日のオリックス戦は、１回⅓で８安打６失点の大乱調。与四球への強い警戒心がピッチングを窮屈にし、甘いコースを連打された結果、早々とノックアウトされた。

　再び悪循環に陥らないよう、この日の試合前には「もう気にしなくていいよ。四球を何個出してもいいと言われて、その言葉に救われました」。適切なタイミングでの声かけが〝四球の呪縛〟にとらわれた心を軽くしてくれた。

大きな意味のある敗戦　次回登板へ気持ち新た

　今季３度目の黒星を喫したが、手応えは大きい。高いポテンシャルを秘めたサウスポーが、勝負の夏を前に状態を上げてきた。