《岩本勉のガン流F論》伊藤のピッチングが思い起こさせたリリーバーとの固い絆
■交流戦2回戦 中日0-7日本ハム(6月12日、エスコンフィールド北海道)
伊藤のピッチングに文句なし
伊藤大海の完封に尽きる。しかもマダックス。言うことなしだ。それを実現させた完封キャッチャーの田宮は縁の下の力持ち。一回、自らのバットで先制点をもたらした。これだけでも乗っていけるのだが、その後の万波の3ランで一挙4点。これが大きかった。
大胆なリードを貫いた田宮 秀逸だったパッケージ
二回以降、田宮は大胆にリードすることができていた。細川や中田ら右打者に対してインサイドにツーシーム、シュート。そして一転、外へスライダー、スイーパー。このパッケージが効果抜群だった。懐→懐からの外スライダー。バッターからしたら、「どっちが来るの?」。内角の残像を効かせ、外のボール球で勝負。秀逸だった。
求められているものを理解していた道産子右腕
田宮の要求通りに事を運ばせた伊藤の状態は今季ナンバーワンと言い切ってもいい。凜(りん)とした姿で、マウンドにどっしりと立ち続けた。自分に求められているものは何か。それが十分に理解できていたように思う。
こんな光景は珍しい 放送席から一望できたブルペンで!?
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3連敗が示すようにチーム状態は良くなかった。リリーフ陣への負担は大きくなっていたのも一因だ。そこにきて〝完全・完全休養日〟をブルペンに与えた。放送席から一望できるブルペン。誰一人として肩をつくる姿が見られなかった。そんな試合は珍しい。
忘れられない島崎さんからの言葉
伊藤とリリーバーを結び付ける絆は、より固いものになっただろう。現役時代、私は無理してでも完投をしにいった試合があった。その試合後、セットアッパーだった島崎さん(元日本ハム投手コーチ)に言われた。「ありがとうな。実は(登板過多で)いっぱいいっぱいだったんだよ」と。その後、私がピンチで降板した際には「あとは任せとけ!」。それらのシーンは忘れることができない。言葉にせずとも、伊藤も同様の思いを背負ってマウンドに上がっていたに違いない。
完封を後押しした松本剛のビッグプレー
伊藤の快投を決定付けたプレーにも触れたい。五回の守備。先頭の村松が放った大飛球を松本剛が背走しながらギリギリのところでキャッチ。この1アウトが大きかった。4―0とはいえ、あそこで中日に得点が入れば、さらに打線に火が付いていた可能性がある。ターニングポイントとなったビッグプレーだった。
待ってました!万波 打球に角度が付いてきた
打球に角度が付いてきた万波はもう大丈夫だろう。待ってました!これからは 額面通りの万波中正が見られるで!