《鶴岡慎也のツルのひと声》若いバッテリーが得た教訓 絶対に間違ってはいけない瞬間が存在する
■交流戦2回戦 巨人2-0日本ハム(6月15日、エスコンフィールド北海道)
息詰まる投手戦 想像を上回ったグリフィン
これぞ投手戦。敗れはしたが、見応え十分で、内容の濃い試合だった。まずは打線。無得点に終わったのだが、相手先発のグリフィンが素晴らしすぎた。好調の水谷さえもきりきり舞いにされた。試合前の時点で防御率は5点台。ところが、だ。映像などで確認したであろう姿を、はるかに上回っていたはずだ。
ハイレベルな左ピッチャー 気持ちを切り替えるしかない
特に目を見張ったのが右バッターに対する外からのカットボール。そのボールを意識させておいてのスプリット。そしてアウトコースへのストレート。さらにインコースへのカット。それらを警戒しているところに内角へ直球。こう次々と決められては、右打者はお手上げだ。間違いなくハイレベルな左ピッチャーがシーズンで1、2を争うほどの好投を披露した。きっぱりと次の試合へ気持ちを切り替えるしかない。
金村&田宮 立ち上がりは言うことなし
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さあ、一方の金村と田宮のバッテリーに話を移したい。こちらも実に見事だった。絶対に勝つという思いが伝わる投球で、序盤からストレート中心に力強く攻めた。スプリットも低めに決まり、右打者へのツーシームもいいところにコントロールされ、スライダーやカットボールも巧みに織り交ぜられていた。立ち上がりは言うことなしだった。
繰り返されたミス 8日のヤクルト戦に続き…
ただ、同じミスを繰り返してしまったのは残念だった。九回1死一塁で岡本和を迎えた。その初球。ツーシームが甘くなり、左中間スタンドに運ばれた。8日のヤクルト戦。その四回。サンタナに逆転3ランを浴びた。この時もツーシームをコントロールミスした。
直球系のボール インコースの使い方には大きなリスク
試合には、絶対に間違ってはいけない瞬間が存在する。勝敗を左右するシーン。しかも一発で仕留める力を持っているバッターを相手にした時はなおさらだ。2人の頭の中には「詰まらせて打ち取ろう」という思いがあったはずだ。それはいい。だが、ツーシームなど直球系のボール、インコースの使い方は大きなリスクを抱えている。この場面、より慎重さが求められた。
思い起こされる野球界の通説
信頼してもいいが、信用しすぎるな。野球界でよく使われるフレーズだ。捕手は良い意味でピッチャーを信用しすぎてはいけない。投手も自身のボールを過信しすぎてはダメだ。同い年のバッテリー。これから何年もコンビを組み、何試合も戦っていく。この日の悔しさをいい教訓にしていってもらいたい。
正解はない球種の選択
ちなみに、岡本和を迎えた九回のシーン。私なら、初球にスプリットを選択した。こればかりは正解がない。結果論の部分もある。だが、スプリットの方が大けがするリスクは少ないと、私は考える。