札幌大谷が3年ぶり全国切符 決勝で王者・旭川実業を撃破だ【全道高校サッカー】
■全道高校サッカー大会第4日(6月18日、札幌・白旗山競技場)
▽準決勝 札幌大谷1-0札幌創成
旭川実業は3連覇中
札幌大谷が後半23分にU-17日本高校選抜メンバーのMF笹修大主将(3年)が値千金の決勝ゴールを決め、3年ぶり6度目のインターハイ切符を手にした。決勝では6年ぶり4度目の優勝を懸けて3連覇中の旭川実業と対戦する。
元部長の清水監督が指揮して3年
試合終了のホイッスルが響き渡ると札幌大谷の応援団が歓喜に沸いた。スタッフとがっちり握手を交わした就任3年目の清水隆行監督(49)は、部長時代に5度の全国大会出場の経験はあるが、指揮官としては初めて。「もうとにかくホッとしてます」と胸をなで下ろした。
1試合の平均得点は驚異の5.5点
札幌支部予選から準々決勝まで8試合連続で4得点以上をマーク。1試合平均5.5得点と圧倒的な攻撃力で勝ち上がってきた。清水監督は「高体連って試合時間が70分なので、すごく相手も頑張ってくるから、どの試合も簡単じゃない」。高円宮杯Uー18プリンスリーグ北海道よりも20分短く、スタミナを気にせず向かってくる相手にもそれだけの力を発揮してきた。
「ゴールに向かってサッカーをしなさい」
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しかし、この日の準決勝・札幌創成戦ではボールを保持しながらも前半はシュート0本に終わり、自慢の攻撃がなりを潜めていた。「ボールはある程度、保持できてたけど、ゴールに全然向かっていなかった。それだと、サッカーは当然勝てないし、うちの良さも出ない。もっとゴールに向かってサッカーをしなさい」とハーフタイムにスイッチを入れ直した。
ボランチ笹が抜け出し虎の子1点
すると後半23分、ボランチで先発していたMF笹主将が、最終ラインから相手DFの裏へ出されたロングボールに反応して前線へ抜け出すと、「相手と接触しながらも前に転がして、ファーストタッチでキーパーを抜いて転がした」と貴重な先制ゴールを挙げた。その後はチームでその虎の子の1点を最後まで守り切った。
「自分が決めなくても誰かが決めると思っていたけど、なかなか点数が入らない中で、自分が前で関わらないと、(ゴールは)こじ開けられないと。気持ちのゴールでもあったと思うんで、そこは表に出て良かった」と胸を張った。
走り込みトレはせず運動量を向上
攻撃を支える土台は豊富な運動量だ。清水監督によると、フィジカルトレーニングは週に1回トレーナーを呼ぶが「いわゆる走り込みをしたり、そういうのは一切やってない。一切やってないと言ったら語弊があるけど、トップの子たちはほぼ走りのトレーニングはないです」。2時間の練習の強度をどれだけ高くするか。そこで足りないと感じた選手は自主トレで補う。
「サッカーって走るスポーツなんで」と、圧倒的な運動量を武器に前線から激しくプレスをかけるスタイルを確立。札幌創成と対戦した4月27日のプリンスリーグで2点に絡んでいた相手の主力選手を今回はスペースも与えず、考える時間も与えず、完全に封じ込んだ。
前十字靱帯断裂の森詩音のために
笹主将の左腕には「80」と書き込んだテーピングが巻かれていた。「森詩音くんっていう、1年生の時から試合に主力で出ていたんですけど、1月3日の裏選手権(新春高校強化研修大会)で右膝前十字靱帯を切ってしまった」。インターハイには間に合うと聞いた笹主将は「全員で詩音と全国に行くという意味で、僕はずっと試合の時はテーピングに80番って書いて出ている」。もう一度、同じピッチに立てると信じ続け、最後まで戦い抜くつもりだ。
「勝って監督を胴上げしたい」
決勝で戦う旭川実業には5月6日のプリンスリーグ北海道で4-2の逆転勝利を収めている。指揮官は「プリンスでは勝っているけど、それはもう過去のこと。目の前の旭川実業にいかにチャレンジするか、準備をします」と意気込む。笹主将は「きょうは自分たちのサッカーができなかったので、よりボールを動かした中で旭川実業の厚い壁をしっかり崩して、点数を決めて勝てるようにやっていきたい。勝って監督を胴上げしたい」。夏の王座に座り続ける強敵を、必ずその座から引きずり下ろす。