《荒木大輔のズバリ解投》細野に重ね合わせたプロ初先発 バース 掛布 岡田を抑えて初勝利
細野のプロ初登板初先発を分析 自身は初先発で初勝利
ドラフト1位ルーキーの細野晴希投手(22)が18日の交流戦・阪神戦でプロデビューを飾った。初登板初先発で四回2死までパーフェクト。五回途中2安打1失点と堂々のピッチングを披露した。さかのぼること41年前。荒木大輔さん(60)も1983年5月19日の阪神戦(神宮)でプロ初先発を果たした。バース、掛布、岡田の超強力クリーンアップを無安打に封じ、5回3安打無失点。見事に勝利投手となった。当時を振り返りながら、細野の投球を分析。今後のさらなる飛躍に期待を込めた。
緊張を上回ったプラスの感情
細野は、良い意味で予想を覆してくれた。四回2死まで完全。しかも無四球。正直、コントロールに苦慮するシーンがあるかもしれないと思っていた。記念すべきプロ初先発。2つのタイプに分かれるだろう。当然、緊張はある。それでも、うれしさや、やる気。プラスの感情が上回り、いつも以上の力を発揮する。一方、過度な緊張で実力を出し切れない投手もいる。細野は前者だった。
見事だった新庄監督の起用と気遣い
新庄監督の気遣いも手助けした。ファームでもバッテリーを組んでいる進藤にスタメンマスクを任せた。登板に至るまでの声かけにしてもそう。自分に期待してくれている。細野はそう思えたはずだ。
記念すべきマウンド ベテラン捕手と組んだプロ初先発
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私にとってもプロ初先発は特別なものだった。それまでリリーフでの登板はあったが、先発は別物。まっさらなマウンドに上がり、ゲームを左右する。その責任は重い。マスクをかぶったのが、早実高の先輩でもあったベテランの大矢(明彦)さん。とにかくガムシャラに腕を振った。
エース格の尾花がまさかのリリーフ登板
六回以降は、当時エース格だった尾花(高夫)さんがリリーフ登板。4回1失点でリードを守ってくれ、チームは2―1で勝利した。当時のヤクルトはセットアッパーやクローザーなど、リリーフ態勢が確立されていなかった。とにかく新人だった私を勝たせようと、首脳陣が配慮してくれた。後に尾花さんから、かけられた言葉は今でも覚えている。「こんな経験は、なかなかできない。ありがとう」と。
3年後に味わった人生最大の緊張 1点差の八回に救援登板
新人の初勝利をフイにはできない。相当なプレッシャーがあったはずだ。3年後、私は身をもって知ることになる。伊東昭光さんのプロ初勝利が懸かった試合で、リリーフ登板した。その試合も阪神が相手だった。5―4の八回にマウンドへ。この時以上に緊張したことはない。そのぐらいの重圧を背負いながら投げた。なんとか1点差を守り抜くことに成功したのだが、あの日のドキドキは忘れられない。
スターターにとって特別な5イニング目
さて、細野。五回はやはり先発投手にとって特別なイニングだ。今回、リードしていたわけではないが、先頭に四球を与え、さらにヒットを許すなどし、1死満塁となったところで降板した。それまでガムシャラに腕を振っていたはずだが、ほんのわずかな意識の変化が力みを生む。力が入ると、腕がスムーズに上がってこない。
自信と反省 さらなる活躍に期待
これも経験だ。五回途中1失点は立派。今後の自信になるだろう。ただ、反省も忘れてはいけない。150キロを超えるストレートは大きな魅力であり武器だ。首脳陣の評価も上がったはず。五回に出た課題を今後に生かせるかは自分次第。さらなる活躍に期待したい。