夏季スポーツ
2024/06/20 23:50

【バスケ女子日本代表】町田&東藤の札幌山の手コンビが地元北海道で躍動「声援が後押しになった」

試合に勝利して観客の声援に応えるSF東藤(左)とPG町田=撮影・金田翔

■バスケットボール女子国際強化試合(6月20日、札幌・北海きたえーる)
▽日本96-85オーストラリア

男女代表がきたえーるで強化試合

 今夏のパリ五輪に出場するバスケットボール男女日本代表は6月20日、メンバー選考を兼ねたオーストラリアとの国際強化試合4連戦の初戦を札幌・北海きたえーるで迎えた。1日目は女子代表戦が行われ、世界ランキング9位の日本が96ー85で同3位の強豪を撃破した。試合には札幌山の手高出身の道産娘コンビが凱旋。21年東京五輪で男女通じて初の銀メダル獲得に貢献した2大会連続出場中のPG町田瑠唯(31、富士通)と、東京大会で初出場したSF東藤なな子(23、トヨタ紡織)が地元で出場し、日本の勝利に貢献した。

第2Qに町田がブザービーター

 町田が初めて地元北海道で日の丸の勇姿を披露した。「コートに出たときに、たくさんの人からの声援が聞こえて後押しになりましたし、力になった」。その言葉通り、第1クオーター(Q)残り5分からコートイン。50-41でリードした第2Q残り1秒ではゴール正面の3点エリアからブザービーターを決めると、会場からはこの日一番の歓声が沸いた。

代表PG3人の中で最も長く出場

 東京五輪でベストファイブに選ばれたプレーぶりは健在だった。広い視野でコートを広く使う得意のスキップパスや、体格差で上回るオーストラリア選手に粘り強く食らいつき、PG3人では最長の15分38秒出場して5得点6アシストをマーク。司令塔としての役割をきっちりと果たした。しかし、「ディフェンスのところがあまり良くなかった。アグレッシブにできているときはターンオーバーを誘えたりしていたけど、イージーにやられたところもあったので明日は修正していきたい」。昨年12月に左足首の負傷で出遅れたが、5月末からの中国遠征から本格的に代表に復帰。3大会連続の五輪出場へ順調ぶりをアピールした。

東藤「勝利見せられてうれしい」

 東藤も高校卒業後、初めて北海道でのプレーが代表戦だった。「試合が始まる前は、すごくワクワクして楽しみな気持ちだった。でもいざコートに入ると緊張したと思う。そういう面では、明日はもう少しリラックスして入りたい。勝利を見せられてすごくうれしい。自分も得点を取ることができて安心した」と胸をなで下ろした。

終了1分前に2点シュート沈めて

 この試合の出場時間は10分8秒と出番は多くなかったが、試合終了残り1分では2点シュートを決めた。「自分の得意のペイントアタックできるタイミングだった。その前もペイントアタックはできてはいたけど、そこからの判断が良くなかったし、そこからの得点もなかった。そこでアピールできて良かった」と手応えをつかんでいる。

エネルギッシュさと冷静さが必要

 東京五輪ではチーム最年少の20歳で全6試合に出場。2大会連続出場へ向け、立ち位置は前回と違う。「経験した分、『初めてだから失敗してもいい』とはできない。でも年下の方ではあるので、エネルギッシュさを忘れず、コートに入ったら全力で100%の自分を出し切るのは変わらない。ただもう少し、頭を使ったり、冷静さみたいなのは必要になってきた」と、生き残りに向けて自己分析する。

慣れ親しんだコートに恩師が応援

 共に高校時代に全国大会進出を目指して熱戦を繰り広げたコート。ゴール下の観客席最前列には、札幌山の手高時代の恩師・上島正光コーチ(80)が応援に訪れた。東藤は「試合前に探したら見つからなくて(町田)瑠唯さんに聞いて気づいた。試合前は全然気がつかなかった。見られてましたね」と、恩師の前で成長した姿を見せた。

「迷わずプレーできたのは収穫」

 日本代表の枠は12人。いまのメンバー16人から4人がふるいに掛けられる。21日にも行われるオーストラリアとの第2戦へ、東藤は「いままで自分でシュートを打てなかったり迷ってしまうところがあったけど、迷わずにプレーできたのは収穫かな。ただそこでシュートを決めきれないところがあったので、決めきれないと、こういうサバイバルは生き残っていけない」。札幌山の手コンビが、パリ行き指定席をつかむための五輪ロードは、いよいよ最終コーナーだ。


■プロフィール 町田 瑠唯(まちだ・るい) 1993年3月8日、旭川市生まれ。小学2年でバスケを始め、札幌山の手では3年時に主将を務め、全国大会3冠を達成。卒業後に富士通入り。2大会連続の出場となった東京五輪では、予選ラウンドのナイジェリア戦で女子五輪記録に並ぶ15アシスト。準決勝のフランス戦では18アシストと五輪新記録を打ち立てた。米国との決勝戦でも接戦を繰り広げ、大会通算75アシストでアシスト王に輝き、大会ベストファイブにも選出された。22年はWNBAのワシントン・ミスティクスでプレーした。帰国後、古巣の富士通と再契約。足首のケガに苦しんだが、今季Wリーグ初優勝に貢献した。身長162センチ。

■プロフィール 東藤 なな子(とうどう・ななこ) 2000年11月29日、札幌市生まれ。小学4年でバスケを始め、札幌山の手では1年時にインターハイ4強、ウインターカップ8強。3年時はインターハイ16強。卒業後、トヨタ紡織入り。Wリーグ19-20シーズン新人王。東京五輪では6試合に出場した。身長175センチ。

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