芸能
2024/06/23 14:00

若き写真家・石田真澄さんが札幌で女優・夏帆の写真展

写真展〝otototoi〟のため来札した写真家・石田真澄さん。中島公園で西日を浴びながらカメラを構える=撮影・小田岳史

郷愁を感じさせる表現に定評

 ふとした時に思い出すあの光景。そこには温度、ニオイ、肌に触れる薫風までも含まれている。そんな経験は誰にでもあるのではないか。

 写真家・石田真澄さんは雑誌や広告などを中心に活躍中。大塚製薬のカロリーメイト、ポカリスエットなどの広告で世間の注目を集め、青春を切り取る写真や、ノスタルジーを感じさせる表現で絶大な支持を得ている。

写真展〝otototoi〟は6月30日まで

 札幌市中央区中島公園近くにあるTO OV cafe/gallary(ト・オン・カフェ)で石田さんが女優・夏帆を撮影した写真集「おとととい」の刊行に伴い写真展〝otototoi〟が開かれている。期間は6月30日(日)まで。

 今回は道新スポーツデジタルの写真記者が石田さんをインタビューした。カメラマンの視点からの一問一答を紹介する。

写真集の発表後に自分たちのペースで

 「おとととい」は2022年4月に発表しており、写真展の構想は撮影をしている時点で石田さんと夏帆、編集者が話しており、通例だと発売に合わせて行うものだが、自分たちのペースで進めようと、2022年10月に東京で第1弾の〝otototoi〟を開催した。

東京、香川、福岡、台湾に続き札幌

 東京を皮切りに香川、福岡、台湾と巡回し「北海道は撮影ロケ地でもあり、友人もいるので絶対やりたい!と去年から話していたが、自分たちの行きたいタイミングにしようと決めていて、夏前の気持ちがいいこの時期になりました」。TO OV cafe/gallaryへは今年に入ってまもなく写真展の内容を伝え、「札幌市内には何カ所か候補がありましたがTO OV cafe/gallaryはカフェを利用したことがあって、アクセスしやすく、お店の雰囲気もお気に入りだったのでお願いしました」。

共に時間をかけて旅行する感覚で

 写真集は通常だと2泊3日から1週間で撮影するケースが多いが「本人がそういう形式ではなく長期間で、との希望があった。撮影してこれがいい、というものではなく、どんなところでどんなシーンを撮影するか2人で意見を出し合った。途中からはマネジャーもなく2人の共通の友人と共に行動していたので、旅行するような感覚で撮影していきました」と当時を振り返る。この約2年半にわたる撮影期間が石田さんの表現する空気感に溶け込み、互いに、より一層かけがえのない時間と作品になったという。撮影枚数は総数1700枚におよんだ。

落ち着いたポートレート寄りに

 「おとととい」の制作にあたり、夏帆ともスナップをまとめたカジュアルな写真集にはしたくないと事前に話していた。「落ち着いたポートレート寄りの写真集にしたいと考えた。撮られてると意識して旅行する、寝ている瞬間を撮ったから隙がある写真である、すっぴんだからいい写真である、みたいなものではない。2人で行動し親交を深めていった仲だけれど、互いに2年後に写真集を出すという目的からは外れることのない時間だった」。

夏帆さん、真澄ちゃんと呼び合う距離感

 ページをめくる度にカメラの視点が人目線だけでなく、さまざまな角度からの視点に変わる絶妙なバランスで構成されており、そこには「撮っているのは私1人ですけど、撮影期間が長かった分、撮り方が変わったり。そこには季節の変化もあると思うし、違う機材に変えたりした。時間をかけて使用写真をセレクトしたことも、目線の変化に対する違和感がないような流れになった」と話す。時間をかけて作成された写真集「おとととい」は膨大な時間で作り上げた空気、空間を凝縮した一冊に仕上がった。〝夏帆さん〟〝真澄ちゃん〟と呼び合う2人の関係性、互いの距離感が、写真集から伝わってくるようだ。

 

【TO OV cafe/gallary】
札幌市中央区南9条西3丁目2-1マジソンハイツ1F
日ー木 10:30~19:30 金・土10:30~20:00
tell 011-299-6380
※〝otototoi〟会期中無休 ※ラストオーダーは閉店30分前

 

写真家・石田真澄さんへの一問一答は次のとおり

―被写体との距離感や大切にしていることは
「様子をみる、自分から突然距離を詰めることはないが、いいかな…と頃合いをみて徐々に」

―自然光を取り入れる撮影で大事にしていることは
「光の向きを見る」

―自然光を取り入れる撮影で好きな季節、時間は
「冬と夏の朝」

―その理由は
「夏の朝は暑いのは苦手だが、夏の新緑が好きだから、靄が出るのも好き。冬は人が少なくさみしい感じ、光の長い感じが好きです」

―石田さんにとって光と影とは
「光が好きな人は影も好き、となるかもですけど、私はわりと光ばっかりみてしまう」

―カメラは四六時中身につけているか
「持っています」

―撮影を終えるタイミングどのように決めているのか
「フィルムなので自分で決めなければいけないけど、自分の中で撮れたな!と思うタイミングもしくは相手の集中力が切れたら」

―使用しているカメラは
「NIKON F3、CONTAX G2、GOKO Macromax」

―その理由は
「自分が手慣れているカメラだから」

―使用しているフィルムは
「KODAK PORTRA400」


【プロフィール】石田 真澄(いしだ・ますみ) 1998年生まれ。2017年5月自身初の個展「GINGER ALE」を開催。2018年2月、初作品集「light  years -光年-」をTISSUE PAPERSより刊行。2019年8月、2冊目の作品集「everything will flow」、2021年3冊目の作品集「eho」を同社より刊行。2022年には、夏帆写真集「おとととい」、八木莉可子写真集「Pitter-Patter」を撮影。雑誌や広告などで活動。

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