《岩本勉のガン流F論》「さちとら」もいいけど、「さちゆう」も
■パ・リーグ8回戦 楽天9-9日本ハム(6月21日、エスコンフィールド北海道)
バッテリーが見せた変化 息は合っていった
コミュニケーションを重ねることで、バッテリーの息は合っていった。試合経過とともに見せた2人の変化が実に見事だった。いつも伏見と組んできた山崎は「ほかのキャッチャーでも自分の味を出せる」といったところを見せたかったはず。
一方、今季2度目のスタメンマスクだった清水も、良いところを見せたかっただろう。
山崎らしからぬ姿 困惑するほどの投げ急ぎっぷり
いわば、互いにプレッシャーを背負ってプレーボールを迎えた。そのせいか、山崎は投げ急ぎが目立った。奥行きを使いながら、巧みにボールを散らしていくのが持ち味なのだが、パワーピッチングに出ていた。バッターでさえも「なんで急いでるの?」と困惑するほどの急ぎっぷり。体勢を崩すシーンすらあった。
迷いながらサイン? 互いに疑問符の一、二回
一、二回、それぞれの頭に「?」が浮かんでいたかもしれない。清水にしてみれば「こんな力投型?」。山崎は「迷いながらサインを出してる?」。互いに、そのように思っていたとしても、おかしくはない。
理想と現実を見極めた2人 しっかりとテーマを共有
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ただ、一回、二回と相手の攻撃を終えるたびに会話を重ねた2人。理想と現実をしっかりと理解できた。三回以降はまるで別人。いや、別バッテリー。「いかに相手打者を翻弄するか」というテーマを共有できていた。低めに散らしながら、打者を打ち取る。四回の三振ゲッツーは素晴らしかった。
すっかりコンビ仲の良いバッテリー 次回はさらに期待
その時にはすでに、コンビ仲の良いバッテリーが存在していた。捕手のサインにうなずくタイミング。ピッチャーへボールを返すシーンも実に心地良く見えた。「さちとら」もいいけど、「さちゆう」も、なかなか。次回、バッテリーを組む機会があるならば、さらに良いアウトを重ねていけるだろう。
ガンちゃんも経験 「俺はスライダーピッチャーやないで」
私にも経験がある。若い捕手と組んだ時だ。スライダーをベースに組み立てようとしていた。そこで言った。「俺はスライダーピッチャーやないで」。そこから、カーブと落ちる球を使ったプランに変更してくれた。やはり、投手と捕手はコミュニケーション。「さちゆう」も今後はそれぞれ、もっと意見を言いやすくなったはずだ。
本当の意味で勝てる投手 危機回避能力もさすが
それにしても山崎は大したもの。ファイターズに入団し、勢いに乗って白星を積み重ねてきた。今回は、本当の意味で勝てるピッチャーということ、危機回避能力が備わっているということを見せてくれた。
レイエスよ 右打ちなんて考えるんやない!
最後にレイエス。六回に代打で登場し、詰まった遊ゴロ。2軍行きの切符が用意されても不思議ではない内容だった。それが七回の2打席目。2死満塁でホームラン。開き直って力強く振った結果や! 右打ちなんて考えるんやない! その力強いスイングを誰もが期待してるんや!