《岩本勉のガン流F論》お立ち台の2人を見て思い出したオバンドーとの友情
■パ・リーグ9回戦 楽天2ー5日本ハム(6月22日、エスコンフィールド北海道)
胸が熱くなったタイムリーコメント
解説席から声を発しながら、胸が熱くなった。二回、1点差に詰め寄り、なおも2死二塁。この日、1軍に昇格したばかりの福田光が同点打を放った。球団から送られてきたタイムリーコメントにはこう記されていた。一部ではあるが、「今までやってきたことしか出ない」。この文言にグッときた。
2軍でも腐らずに全力プレー 「チャンス来えへんかなぁ」
今月上旬、鎌ケ谷でイースタン・リーグを解説した。2軍でも、しっかりフルスイング、全力疾走する福田光の姿があった。当然のことではあるが、これがなかなかできない。ファームに落ち、腐ってしまう選手を何人も見てきた。なんとかチャンスが来えへんかなぁ。福田光を見ながら、そう思っていた。
歯を食いしばって反復練習してきた男の言葉
「今までやってきたことしか出ない」。それは自信の裏返しだろう。自分を信じ、行動してきた男が口にする言葉には説得力がある。「こうやりたい」、「ああなりたい」ではないのだ。歯を食いしばって、汗と泥にまみれながら反復練習してきたからこそのフレーズだった。
互いの活躍を勝利に結びつけた福田光とレイエス
この記事は有料会員限定です。
登録すると続きをお読みいただけます。
そんな福田光には仲間がいた。お立ち台で口にしていた通り、レイエスと互いに切磋琢磨してきたのだろう。それぞれが互いの活躍を勝利に結び付けようと、必死だったように思う。
親友・オバンドーとの出会い 91年にマイナーリーグへ
2人の姿を見ていて、ある男を思い出した。シャーマン・オバンドー。彼は私の親友だった。1999年から2005年まで(03年を除く)日本ハムでプレーしていた。出会いはずっと前。プロ2年目の91年、私は9月上旬から米大リーグ・ヤンキースのマイナーへ派遣された。そこで出会ったのがオバンドー。膝を故障しながらも必死にバットを振り、一塁を駆け抜けた直後にはアイシング。もがきながら上を目指そうと努力する姿に感銘を受け、すぐに打ち解けた。
メジャーでプレーする姿に刺激
その後、93年に再び渡米した。そこに彼はいなかった。聞けば、オリオールズに移籍し、メジャーで活躍しているという。その日、TVの中で全力プレーする彼を見た。「俺も負けてられへん」。そう心に誓ったのを覚えている。
忘れられない歌声 十八番はクラプトン
そしてまさか、日本ハムで一緒にプレーできるなんて。幾度となく、一緒に酒を酌み交わした。彼の歌うクラプトンを何度も聞いた。試合後に電話すると、決まって「アローン(1人だよ)」と言う。そこで私が合流するのだ。
固い友情は言葉の壁を越える
固い友情は言葉の壁を軽々と越えていく。福田光とレイエス。2人の活躍で、どこか沈みがちだったチームに光がともされた。2人のさらなる飛躍を願ってやまない。