日本航空北海道が創部2年目で初の女王【全道高校バスケ】
全道高校バスケ女子で初優勝した日本航空北海道=撮影・西川薫
■全道高校バスケットボール大会最終日(6月23日、小樽市総合体育館)
▽女子決勝リーグ 日本航空北海道93-83札幌東商業
2勝同士で迎えた直接対決は、昨夏創部1年目の1年生だけでいきなり準優勝した日本航空北海道が、ブロック決勝で女王・札幌山の手を破って勝ち上がった札幌東商業を93-83で撃破し初優勝。2年連続出場となるインターハイ(8月3日から、福岡県)では、昨夏の16強超えを狙う。
昨年創部1年目で全道準優勝
昨夏、地元開催のインターハイには全道準Vだったため、開催地枠で出場した。今年はわずか創部2年目で北海道の頂点に立った。昨夏に続き元ドイツUー15代表のPF庵原有紗(2年)が31得点、身長186センチ、マリからの留学生Cカマラ・ファトゥマタ(2年)が34リバウンドと攻撃の中心を担い、第1クオーター(Q)26-12と引き離すと、終始ゲームを支配した。5月のUー17日本代表合宿にも招集された庵原は「絶対優勝してインターハイに行く気持ちで戦って優勝することができた。 インターハイでもこの頑張りをつなげられるように、次の1カ月間、みんなで頑張っていきたい」と声を弾ませた。
34リバウンドで攻撃の中核を担ったCカマラ
打倒・札幌山の手を目指し急成長
当初は昨夏まで10大会連続優勝し、インターハイにも40大会連続出場していた女王・札幌山の手を倒すことを最大目標に掲げていた。この1年間、打倒山の手を合言葉に成長を遂げた。矢倉直親監督(62)は「一番はトランジションディフェンス。山の手の速い攻撃に対して、いかにハリーバックしてピックアップするかを、徹底してやってきた。今日の最後の試合も、早く戻って捕まえるのは、おおむねできたかな。ハイローの攻撃も良かった」。公式戦では新人戦優勝など、札幌山の手には3連勝して2連敗。雌雄を決する場は実現しなかったが、強力なライバルが存在したからこそ、今の強さにつながっている。
チームメートと映画「スラダン」見て手のひらに…
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西川葵主将(2年)は手のひらに「優勝」の文字を書き込んで試合に臨んでいた。大会直前に、チームメートでバスケットボールの金字塔・映画「スラムダンクTHE FIRST SLAM DUNK」を観賞。「宮城リョータが、手のひらにマネジャーに書いてもらってたのを見て、みんなでこういうのをやった方が気持ちが入るんじゃないかって。ここに気持ちを乗せて、ベンチに入れなかった子たちとも気持ちをひとつにして頑張ろうって。去年は夏冬ともに準優勝。今年はやっぱり優勝したかった。その思いは3年生とかにも負けず、1年生も加わったことで、すごいエネルギッシュな風も吹いてきて、自分たちの中でいいチームが作れた」。コートとベンチ、スタンドが一体となって、優勝を現実のものにした。
映画スラムダンクに触発され、手のひらに文字を書き込んだG西川主将(左)とPF庵原
3月に1週間ドイツ遠征し刺激
創部2年目のさらなる躍進のため、チームは3月に1週間、ドイツ遠征を敢行。地元のプロチームやアンダー世代のチームと戦い刺激を受けて帰国した。さらに、創部時は通信制だったが、今春から全日制が開校し、全員全日制に移行。新入生も7人加入。週に3度、授業の一環として午前中に練習することができていたが、困難になった。1年生と2年生の授業時間の関係上、全体練習が減ったが「普段の練習でバチバチできるようになった。大きい子もいるし。なかなか練習試合ができない中で、普段の自分たちの練習で互いにレベルアップすることができた」と矢倉監督。激しいチーム内競争で、実力向上につなげてきた。
前回16強 今回は絶対8強以上
昨夏は初出場のインターハイで堂々の2勝で16強入り。今季の目標は「去年できなかった全国のベスト8以上に、ぜひ行きたい」(矢倉監督)。そのための課題は明確だ。第3Q序盤に最大20点差あったリードは、パスミスやカマラのファウルトラブルで一時は6点差まで追い上げられた場面もあった。指揮官は「途中からプレッシャーなのか、エラーが多くなって。らしくないというか、あんなにエラーすると思ってなかったけど、やっぱりプレッシャーかな。ディフェンスとか、まだエラーが多いので、やっぱり状況判断なんかがまだまだ。あとは、もっと控えの選手が出てこないと、これから厳しいと思う。やっぱり5人、6人なら、ちょっと厳しい」。新戦力の台頭に期待も込めて、北海道の新女王が、新たなサクセスストーリーを紡ぎ出す。