夏の甲子園V1から20年の駒苫が快勝発進 春から成長遂げたエース辻健介が5回無失点【南大会室蘭】
■全国高校野球選手権南北海道大会室蘭支部予選(6月25日、苫小牧・とましんスタジアム)
▽Aブロック準決勝 駒大苫小牧5-0北海道栄
春の全道8強の駒大苫小牧は、先発したエース辻健介(3年)が5回無失点とするなど、3投手で完封リレーを達成。2004年夏の甲子園での北海道勢初Vから20年の節目の夏初戦を快勝発進した。
8カ月ぶり先発も堂々ピッチ
独特のフォームから繰り出される130キロ台中盤の直球を軸に駒大苫小牧の背番号1が躍動した。昨秋の全道2回戦のクラーク戦以来、公式戦では8カ月ぶりの先発。相手は昨夏の南大会準優勝の強豪だったが5回を散発3安打。「緊張はしなかった。自分の役割がスコアボードにゼロを並べることなんで、その役割をまず果たせたことは良かった。守備からリズムをつくることができなかったのが課題。でも0点に抑える、泥臭く絶対ゼロに抑えるという気持ちでランナーを出しても毎回思ってました」と、さわやかな笑みを浮かべた。
中学時代に横手投げに転向
野球を始めた小学生のころは上手投げ。中学時代に所属した真駒内シニアでは外野手に転向したが、2年時に「投手がやりたくて」と復帰。その際、「元々腕が下がり気味だったんで『思い切ってサイドにしてみろ』って監督に勧められた」と、横投げに転向。3年時は背番号1をゲットした。その後、「もっと上を目指してやりたい。北海道で日本一を目指せる場所はここだ」と、駒大苫小牧へ進んだ。
春全道8強も登板は計2回⅓ 腕の位置が定まらずに迷走
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横手投げを極めるため、冬は雪の上でタイヤ引きするなど下半身を強化。腕の高さは試行錯誤を繰り返した。春先には高校で初めてエースナンバーを背負ったものの、「腕の位置によって球が垂れたり、球がうまくいったり」と迷路に入り込んだ。チームは今春の全道で8強に進出したが、辻の登板は2試合で計1回⅓と佐々木孝介監督(37)の信頼を失いかけた。
「振り切ってやればいいじゃん」
春は不安定さが残り、本人の葛藤を感じた指揮官は「もう振り切ってやればいいじゃん」とアドバイス。「繊細な子なんで」と、いろいろな角度から言ってみては、誰かを介したり、様々な手を使った。最終的には「本人がきちっとしたピッチングができるようになったのは大したもの」と成長を認めるようになった。辻自身も「体を振り子のように使うっていう今までの自分のイメージとは全く違って、新しい感覚で投げれるようになった」と今のスタイルに落ち着いた。
今月入り強豪との練習試合で自信
すると、6月7日に白老で行われた沖縄・興南高校と練習試合では完投して3-2で勝利。翌日の東北遠征では、今春の選抜甲子園8強の青森山田戦に登板して7イニングを投げた。「3点くらい得点されちゃったんですけど、前半戦はうまく抑えられた。いいバッターと対戦して、配球の面だったり、制球力の面、1球の価値に気付けた」と、最後の夏を前に自信も手に入れた。
V3逸した06年生まれ
駒大苫小牧が夏の甲子園で3年連続で決勝に進出した06年生まれ。入学前から04年の北海道勢初制覇の映像は何度も見てきた。「今の監督がキャプテンで最後のボール掴んだのが監督。やってきたことがやっぱ出るなって。今も結構、見ます。甲子園の映像を見ると気持ちが高ぶる。自分もそこへ行きたい。次もどんな場面でも自分の与えられたイニングをしっかりゼロで抑え切って、根性で腕を振り切って、チームのために尽くしていきたい」。V1主将を、監督として初めての夏の甲子園へ連れて行く。