札幌惜敗でリーグ6連敗も立て直しに光明 DF髙尾瑠ら守備陣が体を張ったプレーで鼓舞
■J1第20節 FC東京1-0札幌(6月26日、東京・味の素スタジアム)
3戦連続完封負けも逆境打破へ
守備陣の体を張った奮闘が光り、試合終盤まで引き締まったゲームを展開した北海道コンサドーレ札幌だったが、後半39分にFC東京に均衡を破られてしまい、2試合続けて最少失点差での悔しい敗戦となった。これでリーグ戦6連敗となったが、直近の3試合は全て完封負け。逆境を脱するためには必要不可欠な、攻撃陣の奮起が求められる状況だ。
ミシャも選手たちを擁護
「選手たちは横浜M戦も含めて非常にすばらしいプレーを見せてくれているし、何が何でもポイントを取りたい、勝ちたいという姿勢を見せてくれている」。試合後の会見でミハイロ・ペトロヴィッチ監督(66)がそう語って選手たちをたたえたように、横浜Mと互角の戦いを演じた前節のホーム戦同様、札幌は試合開始からハードワークを惜しむことなく戦う姿勢を見せてFC東京に対峙した。
気持ちがこもった入りができた 守備陣での話し合いが奏功
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2試合連続で右CBとしてスタメン出場したDF髙尾瑠(27)も「今日は試合に懸ける思いがみんな強くて、気持ちがこもった入りができたと思う」とイレブンの思いを代弁。また守備陣の中でも「僕も横浜M戦からスタメンに使ってもらって、最後のところで足を伸ばすというのはハチ(岡村大八)や(中村)桐耶とかと話し合っているので。GKにとっても、足を伸ばしてもらったら(シュートコースを)制限されて飛びやすいと思うので、そこを心掛けてやろうと話していました」と、守備対応において細部を突き詰め、最後まで諦めずに対応する意識を共有して、リーグ戦後半戦最初の試合へと臨んでいた。
松木玖生の決定機を2人で阻止
そんな姿勢が形となって現れたのが、前半終了間際の立て続けに襲ったピンチの場面だった。前半40分、MF松木玖生(21)にDFラインのギャップを突かれて裏に抜け出されるが、懸命に追いかけたDF岡村大八(27)が松木のプレーを遅らせると、カバーに入った髙尾が右すねを蹴られながらもボールをかき出して、シュートを撃たせなかった。
「本当に最後まで諦めない」
そして直後の同43分にもペナルティーエリア内でシュートを狙ったMF荒木遼太郎(22)に対し、髙尾と岡村が反応。髙尾が体の後ろに伸ばした左足でブロックし、ボールをゴールマウスに飛ばすことなくはね返した。「あれは本当に最後まで諦めないというのが出ただけ」と、〝足を伸ばす〟意識をその身をもって示して、失点を防いでみせた。
FC東京がボールを握る時間が多くなった後半も、懸命に粘り強い守備を見せ、味方がゴールするのを待ち望んでいた守備陣。だがその瞬間は、試合終了のホイッスルが吹かれるときまで巡ってくることはなかった。
フィニッシュ前の質を高めれば
6月初戦となった第17節のアウェー東京V戦(3●5)で、後半アディショナルタイム4分にMF原康介(18)がゴールを決めて以来、リーグ戦では270分間にわたってノーゴールが続いている。その原因について髙尾は「後ろからのボールがFW陣に良い形で行っていないのかなという印象と、最後のところのクロスの質や、トラップがずれるというところだと思う」と、フィニッシャーにわたるまでの部分にあると分析。MF浅野雄也(27)やMF青木亮太(28)、MFスパチョーク(26)といった得点力のある選手を欠く現状においては、攻撃の部分でも細部を突き詰めて質を高めていくことが、ゴールへの最適解となる。
次は攻撃陣の奮起に期待
中2日で続く3連戦の最後は、現在勝ち点22で16位にいる新潟とのホームゲーム(29日、札幌ドーム)。本気でJ1残留をかなえるには、これ以上の後れをとることは許されない。「今日もすごく声援が力になった。またみんなで今日みたいな試合を続けて、勝てるように頑張っていきたい」。結果にはつながっていないながらも、守備面では光明が見えつつある今の札幌。その勢いに負けじと、新潟戦では奮起した攻撃陣が躍動する姿を見せたいところだ。