エース緊急降板も「俺らが何とかする」苫小牧中央が宿敵・駒苫撃破で支部代表切符【南大会室蘭】
■全国高校野球選手権南北海道大会室蘭支部(6月29、苫小牧・とましんスタジアム)
▽Aブロック代表決定戦 苫小牧中央2-0駒大苫小牧
渡辺光の決勝打で8度目の南大会
苫小牧中央が2-0で公式戦8連敗中の駒大苫小牧に完封勝利。22年に広島のドラ1エース斉藤優汰投手(20)を擁して4強入りして以来、8度目の南大会進出を果たした。0-0で迎えた八回1死二、三塁から3番・渡辺光遊撃手(3年)が、値千金の右前先制適時打。後続の安打で2点目も追加すると、投手陣も最後まで踏ん張り、逃げ切った。
エース藤原が右足けいれんで降板
先発したエース藤原徹平(3年)が七回途中に右足をつって緊急降板。代わりにマウンドへ上がった渡辺大仁投手(2年)が無安打投球で完封リレーを達成。最後の打者を一ゴロに打ち取ると、チームメートとがっちりと抱擁を交わした。渡辺大は「やっぱり単純にうれしかった。駒沢に名前負けしないように、自分の投球に自信を持って気持ちを強く持つことを意識しました」と声を弾ませた。
プロ入団OBいた時代も未勝利 渡辺監督「目玉飛び出た」
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OBの日本ハム・根本悠楓投手(21)や広島・斉藤がいた時代でも勝てなかった宿敵をついに倒した。渡辺宏禎監督(55)就任以降、2011年秋の室蘭支部予選で駒大苫小牧に初めて勝利してからは負けが続いていた負の歴史に、ついに終止符を打った。「しばらくぶりです。(抽選で)Aブロックを引いた時点で目玉飛び出た」というほど駒苫を意識してきた。激戦区のトーナメントを勝ち抜くと、胸にこみ上げるものを抑えることはできなかった。
指揮官の「自信を持て」に奮起
13年ぶりの駒苫撃破に大きく貢献したのが決勝打を放った渡辺光だ。六回の前打席で中前打を放って自信をつけていた。八回1死二、三塁、2ボールから外角のスライダーにさからわず逆方向の右翼線へはじき返すと、三走が生還。「渡辺監督から『お前はもう自信を持て』と。普段から気持ちで勝負しろってチーム全体で言われてるので、それを信じて、自分を信じて打席に入りました」。
渡辺光も右足けいれんしての守備
遊撃の守備では持ち前の根性を発揮した。四回2死一、二塁で打球を捕球した際、右足ふくらはぎがつって突然バランスを崩した。「取って投げようと思った時につって、もう1回握り返して。いまは大丈夫です」。何とか一塁でアウトにしてピンチを切り抜けた。エース藤原が右足をつって降板した時には「俺らが何とかする」との宣言通り、チーム一丸となって勝利をもぎ取った。
生還すると真っ先にエースが抱擁
藤原は降板後にベンチで応援。八回に渡辺光が2点目の生還を果たした際は真っ先に抱きついた。「本当に苦しい展開だったので、1点が本当に嬉しくて」とチームメートの奮闘に感謝した。
エスコン目指し、すでに見学済み
目指すは過去最高成績の全道4強だった〝斉藤超え〟だ。昨夏から南北海道大会準決勝、決勝はエスコンフィールド北海道で開催されている。今年5月にはもう一人の同校OBである根本を応援しに同球場で行われた日本ハム2軍戦を試合前練習からメンバー全員で見学。根本の登板はなかったが、球場の雰囲気や空気感を肌で感じた。そこで指揮官は「ここに来るんだぞ、お前ら」とメンバーに檄を飛ばした。
OB2人からの激励は監督の胸に
この日の試合前夜には、OB2人からの激励も届いたが、指揮官は「気負ってしまうので」と選手に伝えるのは控えたという。これで目標への第1ハードルをクリア。エース藤原は「やっぱりレベルがもう1段、2段も高いチームがあるので、自分の力を存分にぶつけて、0点で抑えていきたい」。激戦だった室蘭支部の代表として、札幌円山に乗り込む。