ファイターズ
2024/06/30 15:00

《ハム番24時》6月30日

 超美技の裏には、きめ細やかな準備があった。26日の西武戦(県営大宮)、2-2で迎えた延長十二回裏だった。2死一、二塁から西武・松原の放った打球は、前進守備を敷いていた左翼の頭上を襲った。この回から左翼の守備に就いていた五十幡は全力で背走し、最後は後ろ向きで倒れ込みながら白球をもぎ取った。メジャー伝説の外野手であるウィリー・メイズの「ザ・キャッチ」をほうふつとさせるスーパープレーに、ベンチも観客も沸き上がった。

 伏線は約6時間半前にあった。なかなか試合をする機会のない地方球場での試合。五十幡は球場入りするやいなや、フェンスを強く叩きながら歩みを進めていた。フェンス際のプレーはけがにつながる恐れもある。いざという時、思い切ったプレーをするためにも「どのぐらいの硬さか確かめたかった」という。「ザ・キャッチ」はフェンスにぶつかったわけではなかったが、入念な準備を怠らなかった五十幡だからこそ、生まれたファインプレーだ。

 五十幡は主に代走や守備固めの役割を任されているが、出場機会は勝負の際であることも多い。試合終盤では、こういったプレーが流れを変えることも珍しくはない。無駄に終わるかもしれないが、細やかな気配りが再浮上の鍵かもしれない。

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