苫小牧工業が10年ぶりの円山へ OB平山監督は男泣き「今年は苫工の年にしたい」【南大会室蘭】
■全国高校野球選手権南北海道大会室蘭支部(6月29日、苫小牧・とましんスタジアム)
▽Bブロック代表決定戦 室蘭栄3-8苫小牧工業
先発の桑村が自ら逆転打
苫小牧工業が3点のビハインドを五回の一挙6得点で逆転し、10年ぶり29度目の南北海道大会進出を決めた。公式戦初先発の桑村琉矢投手(3年)は三回途中3失点で右翼に回ったが、味方打線が五回に1点差に追い付いてなお2死一、三塁の場面では自らのバットで逆転2点三塁打を放ち、勝利に貢献した。同校OBで2016年4月に就任した平山良行監督(49)にとっては、甲子園が懸かる夏秋の全道は初めての出場となる。
就任後、春は準優勝も夏秋は初
OBたちにとっては気の遠くなるような10年だったかもしれない。だが、ようやくたどり着いた。1923年創部の古豪。72年に春夏連続で甲子園に出場するなど、通算6度の出場を誇る。平山監督就任後は19年春に全道準優勝に輝いたことはあるが、甲子園ロードで勝てたの喜びは別格だ。「校歌の時はちょっと涙が出ました」と感情があふれた。
「苦しかったですね。室蘭支部の壁の厚さというか、強豪ひしめくここを勝ち抜くことに長い時間がかかった。応援していただいた方々に大変申し訳ないなっていう気持ちで毎年終わっていたんですけど、今日こうやって勝てた。室蘭栄も59年ぶりの(南大会へ)思いもありますし、こっちも負けられない思いもあります。何とか10年ぶりに出られるので、OBも喜んでくれるかな」。試合後は喜びに沸くスタンドへ少し誇らしげにあいさつした。
親子二代で4番を務める桑村らOBの息子たちが活躍
この記事は有料会員限定です。
登録すると続きをお読みいただけます。
公式戦初先発となった桑村。「今まで中継ぎとかでしか投げてなかったので緊張っていう部分もあっても乱れたのかな。自分で取られた点数なんで、チャンスで回ってきたので取られた点を返そうっていう気持ちで打席に入りました」。桑村の父・直樹さん(45)は、指揮官の3学年後輩で、1996年春の全道優勝時の「4番・二塁」。親子二代で打線の中心を担うが、桑村は「自分的にはピッチングの方が好きです。きょうは30点」。
桑村だけじゃない。指揮官は「セカンドの佐藤力暉は僕の2個下の後輩の息子で、渡辺蒼甫は、僕の1個上の先輩の息子。その息子さんが、こういう風に主力選手で勝ってくれたので〝チーム苫工〟の勝利」と同じOBたちの強力援護に感謝した。
今春の5点差はね返した経験糧に
春の経験が大きかった。春の支部初戦の2回戦でえりもにコールド勝ちすると、三回戦で苫小牧中央に1点差勝利。準決勝では鵡川に5点のビハインドから追い付き、延長タイブレークの末に劇的勝利した。代表決定戦では駒大苫小牧に敗れたが、その差はわずか1点だった。指揮官は「春も5点差をひっくり返したっていうのもありますので、粘り強いっていうか、逆転する自信は持ってるんじゃないかな。6点、あそこで一気にいけたのは良かった」と、試合を決定づけたシーンを振り返った。
室蘭支部のプライドを持って
前回の南大会出場の14年は、1回戦で奇しくも当時の平山監督率いる恵庭南が勝利していた。OB監督として初めて挑む南大会へ「今年は苫工の年にしたいなと個人的には思ってる。室蘭支部代表として、今年の室蘭支部はちょっと弱いなとか、大したことないなと思われないように、プライドを持って、札幌の強豪が集まる中、1つずつ勝ち上がりたい。一戦必勝」。OBたちの期待を背負い、力に変え、古豪復活ののろしを上げる。