宮西尚生 ピンチで狙い通りの3球三振 年齢と経験を重ねて内面が変化 たどり着いた境地はー
■パ・リーグ10回戦 ソフトバンク10ー3日本ハム(6月30日、エスコンフィールド北海道)
百戦錬磨のベテラン左腕 力強く火消し完遂
日本ハムの宮西尚生投手(39)が30日、エスコンフィールド北海道で行われたソフトバンク戦の六回に救援し、火消しに成功した。
先発の加藤貴之投手(32)から2死一、二塁でマウンドを引き継ぎ、3球三振。17年目を迎えている左腕が重苦しい空気を変えて見せた。
失点が許されないシーンで会心投球
2点リードを許す展開。次の1点は命取りだと理解していた。六回2死一、二塁でマウンドに上がった宮西は、川瀬と対戦。バッテリーを組んだ伏見のサイン通り、内角高めの厳しいコースに変化球、直球を投げ、いずれもファウルで追い込むと、外角低めいっぱいにズバッと投げきった。
会心の見逃し三振。「あれは配球通り。いい抜け球を利用して投げられたかな」と納得の表情を浮かべた
武田久コーチの称賛に笑顔
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ホールドシチュエーションでもなく、打者1人を抑えて交代となったが、ピンチをしのいだことに意味がある。走者を置いて降板した加藤貴を救い、競った展開のまま、後続のリリーフ陣にバトンをつないだ。
ベンチに下がると、最優秀中継ぎ1度、セーブ王3度の経験を持つ武田コーチから「さすがや、ナイスピー」と声をかけられ、笑顔を見せた。
プロ17年目にして新境地へ
チームの勝利にはつながらなかったが、マウンド上で気迫を前面に押し出し、チームを鼓舞した。苦しい時こそ、何をすべきか、後輩たちに伝える役割も担っている。
年齢を重ね、内面が変化してきたと自覚している。「本当に楽しんでいる。いい集中力の中で楽しめている。楽しんでやる、ということはこういうことか、とつかみつつある」
酸いも甘いもかみ分けた男 「今が楽しい」
若手時代からがむしゃらに突き進んできたが、ベテランになって、成績不振や2軍暮らしを経験してきた。全てが糧になっていて「残りの野球人生が少ないことは分かっている。楽観的に物事を捉えているわけではなく、試合にはしっかり入り込めているし、今が楽しい」と繰り返し強調した。
全力で腕を振れることが喜びでもある。今は過剰に重圧を感じることなく、純粋に野球と向き合っている。