元北照・河上監督が指導した4校連合あと一歩 激戦の札幌支部で初代表決定戦も無念の敗退【南大会札幌】
■全国高校野球選手権南北海道大会札幌支部(7月1日、札幌麻生ほか)
▽Iブロック代表決定戦 野幌・札幌東豊・札幌北斗・札幌あすかぜ連合1-8札幌国際情報 ※七回コールドゲーム
2試合連続タイブレークで進出
札幌支部で連合チームとして初めて代表決定戦に進出した4校連合が、札幌国際情報に七回コールド負けした。昨秋結成した19人は春に2勝、夏は2試合連続で延長タイブレークを勝ち抜いて代表決定戦に駒を進めた。今春、部活動指導員として連合の札幌あすかぜ監督に就任した元北照監督の河上敬也監督(65)もスタンドから見守った。
連合初の全道に行ける力はあった
3季通じて全道10支部初の北海道大会進出の夢は叶わなかったが、昨秋、今春と全道8強の強豪を相手に得点圏に走者を進めるチャンスを4度つくるなど、最後まで食らいついた。連合を率いた札幌東豊・加納悠太監督(45)は「五回コールドもあるかなと思っていましたけど、本当に(南大会に)行けるだけの力はあったと思う。でも選手は出し切ったと思う」と、悪天候の中で戦った選手たちをねぎらった。
2安打を放った4番の高瀬主将 「勝つ喜びを感じることができた」
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甲子園で8強入りを2度経験している名将の指導は結果につながった。札幌あすかぜを除く3校のメンバーは、昨秋までの2年間で公式戦未勝利。連合の4番と主将を務めた野幌の高瀬朋輝主将(3年)は「まずは悔しいっていうのもありますけど、ここまで勝ててきて最後の試合ができて良かった。夏に勝てたのは春の2勝があったからこそ。勝つ喜びを感じることができた」と胸を張った。
チーム3安打のうち、2本が高瀬主将のバットからだった。「河上さんからの教えで一番心に残っているのは、打撃の面。ボール球を振るとヒットになる確率もどんどん下がるので高めを切る。ヒットになる原点を一番教えられました」と感謝した。
河上監督「欲を言えばもう1つ」
スタンドで最後まで見守った河上監督は「人数が少ない中で各学校が努力して、いろいろ工夫しながら練習してくれた。4校の子たちにとっては最高の夏の終わりじゃなかったのかな。欲を言えば、もう1つだった」と、惜しくも南北海道大会出場を逃して悔しがった。
連合の加納監督は「スキルもありましたし、大会前にも北照イズム、メンタル面などをご指導いただいた。それは僕らにはないもの。公式戦6試合も戦えたので、河上先生が入ってくれた効果はすごい大きかった」。期間限定の連合だったが、学ぶことは大きかった。
強い絆が生まれたのが一番の財産
昨夏、札幌あすかぜは富木昊三塁手(3年)の父が臨時監督となって助っ人も頼んで支部大会1勝を挙げた。連合のエースも務めた同校の高田樹生投手(3年)は七回途中から5番手として登板。「3年間やりきった。河上さんに指導されて、3試合とも自分の全力を出せたので悔いはない」と涙はなかった。「ここまで3年間、人数が少ない中で切磋琢磨して練習して、お互いに慰め合ったりしてきた。それは大事な仲間」。部活動を通じて、強い絆が生まれたのが一番の財産だ。
もらった勇気が来年への希望へ
これで4校連合は一度解散する。札幌あすかぜは3年生が引退すると、部員は1年生1人だけになってしまう。それでも河上監督は「連合チームでもやればできるんだと、私も勇気をもらいました。来年以降、地道にチームをつくり上げて、また札幌支部で挑戦しようという夢が広がってきました」。新たな高校野球の一つのモデルを4校連合が示してくれた。