《岩本勉のガン流F論》大沢親分に続投を直訴したプロ初先発 父ちゃんも母ちゃんも来てるんです!
■パ・リーグ14回戦 ロッテ9-6日本ハム(7月3日、エスコンフィールド北海道)
ほころびは先頭バッターへの四球
負けるべくして負けた。リリーバーの四球がチームを不安にさせ、傾かせた。2点リードの六回から登板したマーフィーが先頭に四球を与え、そこからガタガタと崩れていった。1点差とされ、無死一、二塁で緊急登板したザバラも相手の勢いに飲み込まれた。
レイエスの一発は明るい材料
敗戦の中、レイエスが一時、試合をひっくり返す逆転満塁弾を放り込んだ。明るい材料に他ならない。6月21日の楽天戦でもグランドスラムを記録している。満塁男の印象をライバル球団に植え付けることができた。先発の細野は5回3失点。勝利投手の権利を持ってマウンドを降りたが、白星を手にすることができなかった。細野のピッチングに思うところは多かった。
「都合の良い勝利」ではなく「自分の力でもぎ取った勝利」を
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ハッキリと言いたい。5回で降板しての勝ち星。それは「都合の良い勝利」だ。分業制が当たり前となっている現在のプロ野球界ではあるが、そう言いたい。先発完投型を目指すのならば、七回のマウンドに立つことを常に目指してもらいたい。5回3失点での「いただいた勝利」ではなく、次回はぜひとも「自分の力でもぎ取った勝利」を飾ってもらいたい。
先発ピッチャーは誰もが血のにじむ努力を重ねている
プロ初登板で先発の機会を得た。今回のピッチングも決して悪くない。いや、むしろ及第点だ。近くまた先発マウンドに上がることができるはずだ。ステージは整えられている。次は3度目のチャンス。なんとしても、モノにしなければならない。先発機会。その栄誉を手放さないために、誰もが血のにじむ努力を積み重ねているのだから。
プロ初先発は苦い記憶
私のプロ初先発は5年目の1994年9月28日。ロッテ戦だった。先頭打者に四球を与え、3安打3失点。1回KOを食らった。一回を終えて、当時の大沢監督に交代を告げられた。そこで続投を直訴したのを覚えている。「父ちゃんも母ちゃんも見に来てるんです!もう一回、マウンドに上がらせてください!」と。必死の訴えは報われなかった。それがプロの世界だ。
けがを隠して2度目の先発マウンドへ
だから、2度目の先発は死に物狂いで勝ちにいった。95年7月14日の西武戦。だが、前日の練習で左足を捻挫してしまった。その事実を隠し、痛み止めを服用しマウンドに上がった。結果は1失点完投勝利。試合後、トレーナーに負傷の事実を伝えると、めちゃくちゃ怒られた。「おまえの気持ちは分かる。でも、けがのせいで野球ができなくなる選手もいるんだぞ」。今でも忘れられない。
細野よ、次回登板で気概を見せてや!
決して甘くないプロの世界。チャンスを逃してなるものか! 次回登板。細野には、そんな気概を見せてもらいたい!