札幌MF田中克幸&DF岡田大和の大卒ルーキーコンビが共にプロ初ゴールから2得点「俺ら仲良いな」
■天皇杯3回戦 札幌6-3山形(7月10日、NDソフトスタジアム山形)
大量6ゴールで4回戦進出
リーグ戦5試合連続無得点のうっぷんを晴らすかのような大ゴールラッシュが雨の山形を舞台に繰り広げられた。北海道コンサドーレ札幌は天皇杯3回戦でJ2モンテディオ山形と対戦し、取って取られてのシーソーゲームの末に6-3で勝利。4回戦進出を決めた。次の対戦相手は今月12日に行われる抽選で決定する。
2回戦は高卒ルーキーたちが共演
栃木シティとの2回戦(6月12日、札幌ドーム)はFW出間思努(19)とMF原康介(18)の高卒ルーキーコンビのゴール共演で勝利した。それに負けじと3回戦突破の原動力となったのは大卒ルーキーコンビだ。MF田中克幸(22)とDF岡田大和(23)が揃ってプロ初ゴールを含む2得点を決め、意地を見せた。
口火は田中克の華麗なFK弾
合計9ゴールが生まれた乱打戦。その口火を切ったのは田中克だ。前半6分、ペナルティーエリア手前やや右の位置で札幌が直接FKを得ると、キッカーを務めた田中克の左足から放たれたボールがゴールネットを揺らした。「自信を持って蹴りましたし、蹴る瞬間はGKと駆け引きした中で、GKの動きも見れていて、駆け引きに勝った状態だったので。蹴って枠に入れられれば、もう入るという気持ちでした」。
FC東京戦のリベンジ
リーグ戦初先発した先月26日のアウェーFC東京戦(0●1)では同じような位置でFKのキッカーを任せられたが、わずかにゴール上へ外していただけにリベンジも果たした格好となった。
チームの勝利が一番うれしい
田中克にとってはうれしいプロ初ゴール。「自分らしい得点で初ゴールができたというのはすごくうれしいですし、得点を挙げてチームが勝ったということで、そこが一番うれしいです」と、ようやく決めた〝プロ1号〟の喜びをかみしめた。
GKの位置を2度確認してループ 雨の中で美しい放物線を描いた
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田中克はなおも躍動した。4-2で迎えた後半12分、相手陣内で山形のパスをカットすると、GKの位置を見て左足でループシュート。降りしきる雨の中、美しい放物線を描いたボールはGKの頭上を越えてゴールへと吸い込まれた。「ボールを奪った瞬間にGKが(前に)出ていたことが分かっていて。(DFが)1人寄せてきて時間が少しかかってしまったので無理かなと思ったけど、もう一回、GKの位置を見たらうまく入りそうだったので」と胸を張った。
田中克と対照的な力強さ持つ岡田
同期には負けまいと、もう一人強いインパクトを残したのが岡田だ。2-2で迎えた前半アディショナルタイム3分、ハーフウェーライン付近でボールを受けると、ドリブルでペナルティーエリア手前まで前進。遠目から最大の武器である左足で強烈なミドルシュートを放つと、ボールは見事にゴールへと突き刺さった。田中克の華麗さとは好対照な力強いシュートで、プロ初ゴールを生み出した。
「これが自分の左足だ!」
「点を取りたいとは思っていたけど、欲を言えば自分らしいゴールで取りたいなと思っていて。『これが自分の左足だ!』というゴールを決められたので、うれしい気持ちがありました」と、待ち望んでいたゴールをにこやかな表情で振り返った。
チーム6点目は地を這うシュート
先に2点を取って後半23分にはピッチを退いていた同期が見守る中、再び岡田の左足が光ったのが同39分。左ウイングバックへとポジションを上げていた岡田が相手ボールをカットすると、そのまま持ち上がってペナルティーエリア内左サイドへと進入。相手GKの位置を確認すると、グラウンダーのシュートで見事にゴール右隅を射止めた。「あの形、角度は毎日(チームの)練習後に練習をしていたので、日々の練習は裏切らないなと改めて実感しました」。チーム6点目となるゴールで山形の息の根を止め、4回戦進出を決定づけた。
プライベートも本職も同期の絆
共に大学を経て、今季から札幌へ加入。同期としてプライベートでも仲の良い2人だが、本職でも公式戦初ゴール、初の複数得点が同じ日、同じ試合という相性の良さ。田中克が「日々過ごす時間の中でも、多くの時間を大和と過ごしていますし、その大和がこういう舞台でゴールを決めて活躍するというのは、自分の刺激にもなりますし、2人ともゴールを決めてうれしい気持ちでいっぱいです」と笑顔を見せれば、岡田も「同じ日にプロ初ゴールと2ゴールを決められたので『俺ら仲良いな』って(笑)」と、ジョーク混じりに同期の絆を誇った。
次の神戸にも勝てば勢いに乗れる
チームは現在リーグ戦8連敗中で最下位と苦しい状況に追い込まれているが、この日の6発大勝を巻き返しへのきっかけにしたいところだ。「大量得点というのはチームにとって自信になると思いますし、この力をリーグ戦につなげていきたい。(次の)相手は神戸という力のあるチームですけど、そこに勝てばより勢いに乗れると思うので、勝ちにこだわってチームとしてやっていきたい」(田中克)。この日の躍動を見せた若い力たちと主力メンバーが一丸となり、中2日で迎える神戸とのリーグ戦で勝利を目指す。