立命館慶祥が先発全員安打で2年連続8強入り エスコン一番乗りに王手【南北海道大会】
■全国高校野球選手権南北海道大会第1日(7月11日、札幌円山球場)
▽1回戦 立命館慶祥11-0苫小牧中央 ※五回コールド
先発全員安打の17安打11得点
2年連続出場の立命館慶祥は、4番の戸嶋陽斗二塁手(3年)が3安打1打点をマークするなど、スタメン全員安打の17安打11得点。苫小牧工業を五回コールドゲームで撃破し、2年連続で8強入りを果たした。13日の準々決勝では、初の夏4強入りとエスコンフィールド北海道初切符を懸け、3季連続8強進出の札幌国際情報と対戦する。
滝本監督も想定外の「出来すぎ」
エスコン行きに王手をかけた。打線が2巡目に突入した三回から一挙爆発。上位から下位まで切れ目のない強力打線に、滝本圭史監督(43)は「出来すぎです。支部予選も厳しい戦いが続いてたし、夏の大会は本当に何が起こるか分からない。打線は、みんな力のある子たちなので点数は取れるかなとは思っていたけど、もっと厳しい試合になるとは思ってました」。想定を上回る試合展開に、表情を崩した。
右横手投げへの対策、ボトムアップの取り組みなど全てが奏功
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苫小牧工業の右横手投げのエース・岡田陸斗投手(3年)の直球に狙いを絞った。指揮官によると「真っすぐがシュート回転して右バッター(の内角)に食い込んでくるので、セオリーで言えば、そこを捨てて、外を逆方向(に狙って)という思いだったけど、彼は本当に右バッターへのインコースのコントロールがすごく良いので、『一番良い球を引っ張り込んでやろうぜ』って。変化球はその代わり(打撃フォームが)泳いでも構わないよと。泳いでもちゃんとバットに当てる練習はしてきた。初回に3番、4番が打って、対策通りで行けるねって。みんな勇気を持って行けたんだと思います。ハマりました」と、してやったりだ。
つなぎの4番を目指す戸嶋
最後の夏にレギュラーナンバーをつかみ取った戸嶋が打線の中心に座った。「ただ4番目のバッター。甘い球が来たらフルスイングで、小技もできるつなぎの4番を目指してやってます」と胸を張った。
二塁転向の直訴で直前に定位置へ
新チームで戸嶋は秋、春と三塁の控え。ラストイヤーが開幕した春終了後、二塁手転向を直訴。「練習でもずっとポロポロしてるんですけど、大会はもうエラーしてもいいぞ、みたいな気持ちで、攻める気持ちを持ってやってます」。夏の支部予選直前に練習試合で打撃の結果を残し、支部予選からは主砲に抜てきされた。
4番、7番を固めたことで打線に
朝練の成果も出た。札幌支部予選では1安打と不振に終わり、「4番としても不甲斐ない成績だった」。巻き返しを図ろうと、授業前に毎朝1時間の朝練を開始。大事な初戦でバットに快音が戻った。滝本監督は「戸嶋はオールマイティーの選手。典型的な4番像とはちょっと違うかもしれないけど、戸嶋の4番と7番の田畑、ここに2人を置いてからすごくガチっとはまって練習試合もできてきているので『打線』で点が取れている。その2人が大きい」と、欠かせないピースに成長した。
チーム「立」「命」「館」
試行錯誤でチームの底上げを図ってきた。滝本監督は新チーム発足後、戦力が同じになるようにチームを三等分にして、練習試合などで多くのメンバーにアピールの機会を与え、経験を積ませた。それぞれのチームには「立」「命」「館」と名前が付いており、戸嶋は「命」チーム。そこから実力別の「立命館」と「慶祥」のA、Bチームに分け、頻繁に入れ替えを行って競争を繰り返してきた。秋と春は支部敗退とチームとしての結果は出なかったが、ここに来てようやくその取り組みに成果が出てきた。
札国際情報の旧友・今村と初対戦
準々決勝の相手は札幌国際情報。エースの今村壮吾投手(3年)は、戸嶋と家が徒歩2分圏内で小中のチームメート。中学の札幌西リトルシニア時代には二遊間を組んだこともある。先に札幌第一との接戦で勝利した今村とは、試合間のベンチ入れ替えの際に「向こうが『あぶねぇ』みたいなことを言っていたので、『ナイスゲーム』」と言葉を交わした。高校入学後、互いが初めて対戦するのが甲子園を懸けた最後の戦い。これ以上ない舞台で相まみえる。「ピッチャー対バッターで、 絶対に今村くんから打ちたいです」。4強一番乗りは譲れない。