函大有斗・能戸優雅主将の長~い1日 選手宣誓の8時間後に公式戦初アーチで大会1号【南北海道大会】
■全国高校野球選手権南北海道大会第1日(7月11日、札幌円山球場)
▽1回戦 函館大有斗6-3苫小牧中央
2長打1打点、三塁守備でも活躍
函館大有斗が序盤のリードを守りきり、2年連続の8強入りを果たした。開会式で選手宣誓の大役を務めた主将の能戸優雅三塁手(3年)が、九回に公式戦初アーチとなる大会1号本塁打を放つなど、2長打1打点の活躍。捕手から転向した三塁の守備でも立て続けに好捕を披露した。14日の準々決勝では、11年ぶりの4強入りを懸けて北海と札幌光星の勝者と対戦する。
「やっぱり今日はついてるな」
能戸主将の長~い1日は勝利で終わった。選手宣誓から約8時間後、九回に能戸主将の描いた放物線は左翼芝生席で大きく弾む大会第1号本塁打。さらにその裏には2死から最後の打者の打球をジャンプ一番、しっかりとグラブに収めてゲームセットとなった。「まさか自分ところに最後(打球が)来ると思わなかった。やっぱり今日はついてるな。選手宣誓で緊張が解けた部分があって、この試合はリラックスできた状態で臨めた」と声を弾ませた。
チーム最小兵の160センチ
160センチと小柄だがパンチ力は抜群だ。二回の第2打席にも右越えの三塁打をマーク。六回には犠打も決めるなど、小技も光る。片口伸之監督(44)は「きょうは能戸くん、頑張りましたね。朝から最後の締めまで。人一倍、チームに懸ける思いが強い。難しいサードゴロもさばいたし、バントもできるし、長打も打てる。いろんな対応ができる選手なので、バスターとかもよく練習してます」と、2番に置く理由を明かした。
三塁転向は重荷を軽減させるため 指揮官自ら特守でノックバット
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春の大会直前まで本職は捕手。支部大会1週間前に三塁手に転向を告げた指揮官は「彼が背負っているものを軽減したかった。キャッチャーをやっていて、打たれると自分の配給が悪かったんじゃないかと気にしちゃうんですよね。この先、上を目指して大学でも野球をやりたいっていうことであれば、内野手でも可能性があると思っているんで、思い切って替えました」。内野手用のグラブを与え、特守ではコーチと一緒に指揮官自らノックバットを握って、急ピッチで鍛え上げた。
「先生の言葉を信じて良かった」
能戸も内野手転向を告げられた時は少なからず驚きがあったという。ただ、「(投手の)リードが苦手だった分、バッティングに時間を使えて、練習できるようになった。片口先生にも『もし上でやるなら、内野ができた方が通用する』って言われた。片口先生の言葉を信じて良かった」。三塁線の難しい打球など、7度の守備機会も無失策。守備でもチームをもり立てた。
口に出した思いがプレーに表れた
開会式の選手宣誓では「仲間たちとさまざまな困難を乗り越えられたのは、小さい頃から憧れた甲子園という場所があったから」という言葉を入れた。「口に出すことって大事なんで、その思いが今日のプレーにつながったかな。勝つことが夏の大会は大事。どんな形でもいいので、最終的に勝っていれば次につながる。強い有斗を維持していかないと」。同校OBの指揮官が出場した1997年夏以来の聖地を、チーム最小兵の主将がけん引する。