山本拓実 絶体絶命の窮地で三振斬り 珍しく飛び出したガッツポーズのわけはー
■パ・リーグ11回戦 ソフトバンク5ー4日本ハム(7月12日、エスコンフィールド北海道)
延長十一回2死一、三塁で緊急リリーフ 最高の3球三振
日本ハムの山本拓実投手(24)が12日、エスコンフィールド北海道で行われたソフトバンク戦で、絶体絶命の窮地を救った。同点の延長十一回2死一、三塁で救援。魂のこもった投球で甲斐拓也捕手(31)を3球三振に仕留めた。
冷静沈着な小さな巨人がほえた
田宮の要求通り、低めにシンカーが決まり、甲斐のバットが空を切った。燃えるシチュエーションで最高の仕事をやってのけると、珍しく感情むき出しでほえた。
「自分としては感情を出すタイプではないので。自然に出た、という感じですね」。拍手と大歓声が降り注ぎ、ピンチを残してマウンドを降りた宮西に笑顔で迎えられた。
同じ轍は踏まない 生かした苦い経験
この記事は有料会員限定です。
登録すると続きをお読みいただけます。
1点も許されないシビれる場面で、大先輩からバトンを託された。重圧は計り知れない。それでも腹をくくり、平常心を自らに言い聞かせた。
苦い経験が教訓になっていた。同じくエスコンで行われた6月30日のソフトバンク戦。無死満塁で杉浦からマウンドを引き継いだが、打線の勢いを止められず、2点打を浴びるなど、4点を追加された。
立ち返った原点 「自分のできることを」
自らが打たれると、ピンチをつくった投手の成績が悪化する―。心理的な負荷が大きくなり、本来のパフォーマンスを発揮できなかった。
同じ失敗は繰り返さない。「前回、杉浦さんが投げた後、ランナーを全部かえしてしまった。ランナーを気にするんじゃなく、自分のできることをやろうと。きょうは目の前の打者に集中して投げられたかなと思います」と安堵した。
宮西にもホールド 「ピッチャーはみんな助け合い」
山本拓が抑えたことで、宮西にもホールドが記録された。
「(ホールドは)後から気付きました。投げている時は関係なく、ほかの人のランナーとか、この場面がどうとか、僕の中で邪念だと思っているので、その邪念をゼロにして投げられました」と振り返り「僕がつくったピンチを助けてもらったことが去年も今年もある。ピッチャーはみんな助け合いです」と強調した。
生田目からまさかのダメ出し!?
火消しの任務を完璧にやり遂げてベンチに戻ると、抑えた後の振る舞いについてイジられたそう。
「『ガッツポーズ、あまりうまくないね』と生田目さんに言われました。あまりやり慣れていないので」と苦笑い。普段は冷静な男が熱い投球でチームを鼓舞し、ファンの心をがっちりとつかんだ。