《鶴岡慎也のツルのひと声》伏見の盗塁阻止で回想 常に狙ってきたムネリンに本多、片岡、荻野
■パ・リーグ12回戦 ソフトバンク2ー3日本ハム(7月13日、エスコンフィールド北海道)
〝復活〟した姿を披露したバーヘイゲン
今季初登板となった先発のバーヘイゲン。彼の武器は155キロのツーシーム。キャンプから、機会があるたびにピッチングを見てきたが、140キロぐらいしか出ていなかった。正直、「大丈夫なのか?」と思っていた。だが、この日のツーシームは150キロオーバー。球威があった。スライダーやチェンジアップにもキレがあった。
ここから5勝以上はしてもらいたい
もともと「勝てるピッチャー」。ランナーが出てからの投球など、課題はあるが、ようやく状態を上げてくれた。ここから5勝以上はしてもらいたい。出遅れた分、しっかりとチームに貢献してくれなければ。それが彼の責任だ。
見事だったインサイドワーク
そして注目すべきはバッテリーを組んだ伏見。相手もツーシームを意識していた中で、スライダーとチェンジアップをうまく使った。特に左バッターの膝元へのスライダーは効果的だった。早々に軸となるボールを見極められたのは、さすがと言いたい。
チームを、守護神を救ったワンプレー
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ハイライトとも言うべきシーンは九回1死一、二塁。二走の周東が三盗を試みたが、見事に刺した。このプレーは大きかった。成功していれば、1死一、三塁。雲泥の差だ。守護神も救った。前日、十回に一時勝ち越しとなる得点を与えていた田中正。この1アウトは心強かっただろう。
雰囲気を察して準備 捕球位置も奏功
周東にはそれまで一、五、七回と3度、盗塁を許していた。バーヘイゲンのクイックと周東の走力を考えれば、刺すのは難しい。伏見も、そう割り切っていたはずだ。バタつくことなく、九回の場面では、しっかりとやり返した。伏見の動きから、走りそうな雰囲気を察して、準備を整えていたのが分かった。田中正からの投球が、捕球からスローイングに移行しやすい真ん中高めに来たのも幸いした。
忘れられないスピードスターたち
予測と準備。その姿に現役時代を思い出した。ソフトバンクの川崎に本多、西武の片岡、ロッテの荻野。常に次の塁を狙う面々は厄介な相手だった。年間60盗塁を記録する選手たち。彼らには「行くな」のサインはほぼない。だからこちらも常に盗塁阻止を狙い、準備していた。
チームに与える安心感 寄せられる信頼
今の日本ハムには打率3割を超える捕手がいる。そんな中、スタメンマスクをかぶることも少なくない伏見。チームに与える安心感と彼に対する厚い信頼を再確認した。