札幌が神戸と痛み分けドロー MF青木亮太の〝初蹴り〟直接FKで6試合ぶりゴールも勝利ならず
■J1第23節 札幌1―1神戸(7月13日、札幌ドーム)
北海道コンサドーレ札幌は、昨季のJ1王者・神戸と互角以上の戦いを演じた。相手を上回る15本のシュートを放ち、6試合ぶりのゴールも生まれた。だが、勝てなかった。ミハイロ・ペトロヴィッチ監督(66)は試合後、「今日の目標だった勝利に届かず、非常にがっかりしているし、残念だ」と、悔しさ混じりの表情で振り返った。
青木と浅野がそろって先発復帰
札幌は、前節アウェー鹿島戦で戦列復帰したMF青木亮太(28)、左ハムストリング肉離れで約2カ月離脱していたMF浅野雄也(27)がそろって先発復帰。最近の戦いで徐々に調子を上げてきていたチームに、自らボールを運び、チャンスメークもできる歴代チーム得点王の2人が加わったことで攻撃が活性化。試合開始前の時点でJ1トップタイの17失点しか許していなかった神戸守備陣相手に、果敢に何度も相手ゴールへと迫り続けた。
直接FK 意外や「初めて蹴りました」
そして迎えた前半39分。札幌が1カ月以上にわたり待ち望んでいたシーンが、ようやく生まれた。敵陣ペナルティーエリア手前ほぼ正面でFKのチャンスを得ると、FW菅大輝(25)と共にボールサイドに立ったのは青木だった。「(直接FKを)初めて蹴りました」という青木の右足から放たれたボールは、壁をつくった神戸選手の間をすり抜けてゴール右隅に吸い込まれた。
6月2日東京V戦以来の札幌ゴール
チームトップタイとなる青木の今季3得点目は、札幌にとって6月2日のアウェー東京V戦(3●5)の後半アディショナルタイム4分に生まれたMF原康介(18)のゴール以来6試合ぶり、実に489分ぶりとなるゴールとなった。「チャンスがあったら蹴りたいと思っていたし、だいたいああいうときは(FKを)浅野選手が蹴っているが、まだ復帰明けだったので今回蹴らせてもらって。いい形で蹴れて良かった」と、これまでキッカーを務めてなかったのが信じられないほど見事な一撃で、札幌に先制点をもたらした。
後半30分PKゲット! チャーンス!
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後半3分に神戸FW大迫勇也(34)に同点ゴールを決められ試合を振り出しに戻されたが、奮闘を続けた札幌守備陣はそれ以上の失点を許さずに味方の反撃を待った。そして訪れた後半30分のPK。だがキッカーを務めたFW鈴木武蔵(30)のシュートは相手GKにキャッチされ、勝ち越しチャンスを逃してしまった。青木もフル出場を果たして、チームトップとなる4本のシュートを放ったが、最後まで追加点を奪えないまま試合は終了。勝ち点1ずつを分け合う、まさに〝痛み分け〟と言える結果に終わったが、「みんな勝ちたい気持ちはずっと持ちながらやっている。そういう気持ちが前に出ていたと思う。あとは冷静にゲームを見ながら、チャンスで決められるように、もっと突き詰めてやっていきたい」と、青木は前を向く。
負傷者が続々復帰 新戦力も次々発表
厳しい状況は依然として続いているが、この日は青木、浅野に加え、後半19分から途中出場したMF長谷川竜也(30)が戦列に復帰。さらにはMF近藤友喜(23)も完全合流が目前となっている。そして新戦力のMFフランシス・カン(26)に続き、この日にはスペイン人FWジョルディ・サンチェス(29)の加入も発表された。加えてさらなる補強にも動いており、難敵神戸相手にこの日見せた攻撃的サッカーを、復帰組、新加入組が底上げすることができれば、逆転でのJ1残留も決して夢物語ではないはずだ。
残り15試合 信じるチーム道を突き進む
試合後、ホームゴール裏に詰めかけた札幌サポーターは「迷わず行けよ 信じる道 俺たちならやれるのさ」と歌い続けて選手たちを鼓舞した。「(チーム状況が)良くないときも応援してくれる。勝って喜ばせたかったけど、本当に北海道コンサドーレ札幌が一丸となって戦っていると改めて思った」。残り15試合となったリーグ戦。札幌は迷うことなく、チーム一丸となって信じる道を突き進む。